週間リーガルニュース(20210419)

2021. 4. 19

週間リーガルニュース(20210419)

➢国務院常務会議が「中華人民共和国市場主体登記管理条例(草案)」を通過
   「放管服」改革(行政の簡素化と権限の委譲、公平性への監督管理、サービスの最適化の改革)の深化とビジネス環境の絶え間ない最適化に伴って、第13次5ヵ年計画期に中国の市場主体数は6,000万以上増加し、雇用を促し、同時に経済の活力と強じんさを高めました。そしてこのたび、さらに改革を深化させ、市場主体の合法権益を保護し、起業、イノベーションを推し進めるため、4月14日に国務院常務会議会が招集され「中華人民共和国市場主体登記管理条例(草案)」(以下、草案)が可決されました。草案は、中国国内で営利を目的として経営活動に従事する各種の企業、個人商工業者、農民専業合作社等に対して統一した登記管理を規定しました。草案の主な内容は、登記の簡便化、申請書類と登記手続きの合理化、 「登録抹消難」の解消、廃業の制度化、信憑性と監督管理に対する要求の明確化、および違法行為に対する法律責任と処罰措置の明確化などの多方面を規定しています。

➢江蘇省高級人民法院が知的財産権事件審理を大幅に推進する3文書を続けて公布
   知的労働による成果は、産業の刷新、発展に重要な意義があります。司法の実務においては、科学技術の進歩とビジネスモデルの多様化により、知的財産権紛争の処理がますます重要な課題となっています。4月16日に江蘇省高級人民法院は、「商業秘密侵犯民事紛争事件の審理ガイドライン(改訂版)」「商標権侵害民事紛争の審理ガイドライン(改訂版)」「渉外知的財産権裁判業務のさらなる強化に関する摘要」を公布しました。3文書は主に、商業秘密侵犯民事紛争事件と商標権侵害民事紛争事件の審理における思考、商業秘密の審査と認定、商標使用行為の審査と認定、および渉外知的財産権の紛争事件の審理で遵守すべき原則などを規定しています。

➢最高人民検察院が「第14次5ヵ年計画期における検察業務の発展計画」を公布
   4月16日に最高人民検察院は「第14次5ヵ年計画期における検察業務の発展計画」(以下、発展計画)を公布しました。発展計画では、民事紛争、経済紛争で生じる問題に刑事事件の名目で干渉することに対しての監督管理を強化すると指摘しています。事件に関与した企業のコンプライアンス管理を促す試行を慎重に進め、法律に則って、逮捕または起訴、実刑判決を執行しなくてもよい事件に関与した企業とその責任者に対して、制御可能な企業コンプライアンスの整備に承諾、実施させることで、中国の特色ある現代的な企業規制を実現する司法制度を積極的に探求していくとしています。最高人民検察院は、すでに今年3月から上海浦東を含む6カ所の基層検察院で企業コンプライアンス改革の第一期試験業務を開始しています。4月8日には第二期として改革の試験範囲を10省に拡大しました。発展計画で「中国の特色ある現代的な企業規制を実現する司法制度を積極的に探究する」と指摘したことを背景に、コンプライアンス不起訴制度をはじめとした企業のコンプライアンス管理制度の構築がさらに発展していくことになります。

➢税関総署が「中華人民共和国輸出入食品安全管理弁法」を公布
   4月13日に税関総署は「中華人民共和国輸出入食品安全管理弁法」(以下、弁法)を公布しました。弁法では、「合格評価(適正評価)」の概念を規定しており、輸入食品に対して合格評価を実施することを明確に要求し、また、弁法の第12条から第17条で海外の国家審査と評価の条件、内容、審査方法、審査材料、結果の応用などの内容も規定しています。この弁法の革新的な点は、税関総署がビデオ検査を計画して実施できるとしていることです。ビデオ検査方式で審査、確認が実施されることにより、検査の効率が高まるだけでなく、検査において生じる不必要なリスクも低減できます。弁法は2022年1月1日から正式に実施されます。

➢案例:某製薬グループの垂直的価格独占に7.64億元(約127億円)の罰金
   2019年に国家市場監督管理総局は某製薬集団に対して独占協議行為を合意および実施した嫌疑により立件調査を実施しました。2021年4月15日に市場監督管理総局は、「独占禁止法」第46条、第49条の規定により行政処罰を決定し、某製薬集団に違法行為の停止を命じ、かつ、同集団の2018年の販売額254.67億元(約4,248億円)の3%にあたる7.64億元(約127億円)の罰金を科しました。調査により、某製薬集団は、卸、小売りなどの取引先と価格を固定、限定する独占協議を締結し、かつ、固定価格と限定価格の協議に違約した当事者に対して懲罰を実施する措置を規定していたことが判明しました。市場監督管理総局は、最終的に、某製薬集団の上記の行為が競争を排除、制限するもので、消費者と社会公共の利益を損害したと認定しました。

➢案例:ユーザーアカウントとパスワードの無断保存に刑罰
   2020年9月に杭州市西湖区人民検察院は、杭州市の著名なビッグデータサービス会社を公民個人情報侵犯罪の嫌疑で、法律に則って起訴しました。裁判所の審理により、被告はインターネットローン・プラットフォームなどに協力し、自社が開発したプラグイン・プログラム(Web機能拡張プログラム)を介して、ユーザーがインターネットローン・プラットフォームに入力した社会保険やタオバオ、公的積立金、中国高等教育学生情報ネットワークなどの関連情報を取得し、関連のプラットフォームにアカウントとパスワードを登録するために利用し、取得情報をインターネットローン・プラットフォームなどに対してユーザーの与信を判断するために提供し、同時にインターネットローン・プラットフォームなどから報酬を得ていました。また、被告は技術を駆使して、ユーザーの許可を得ずにユーザーの各種アカウントとパスワードを自社がレンタルしているサーバー上に長期間保存していたことが明らかになりました。裁判所は最終的に、被告は公民の個人情報を不法取得し、その情状は特に厳重であり、その行為は公民個人情報侵犯罪を構成していると認定し、罰金3,000万元(約5億円)を科し、直接の責任者である経営責任者(法人代表)・周某と技術責任者・袁某を懲役3年の刑に処しました(それぞれ執行猶予4年と執行猶予3年)。【(2020)浙0106刑初437号)】

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