「民法典」施行での「保証規定」に関する変化

2021. 3. 22

「民法典」施行での「保証規定」に関する変化

変化その一:保証の方式を「約定せず、又は明確に約定していない場合」は「一般保証」として処理
基本状況:日常生活では、当事者が作成する借用証書は割とシンプルで、借用証書の本文中に保証の方式を定めず、「保証人」欄に関係者が直接署名だけということがよくある。
「民法典」実施前:この場合は、司法における実務では「連帯責任保証」であると推定されていた。
「民法典」実施後:関係者の権利と義務は、「連帯責任保証」ではなく、「一般保証」として確定される。
法的根拠:
「民法典」第686条:保証の方式には、一般保証と連帯責任保証を含む。当事者が保証契約において保証の方式について約定せず、又は明確に約定していない場合には、一般保証に従い保証責任を負う。

変化その二:保証期間の変化
「民法典」実施前:保証期間は2年間
「民法典」実施後:約定せず又は明確に約定していない場合には、統一的に6カ月間の保証期間を適用する。
法的根拠:
「民法典」第692条:債権者は保証人と、保証期間を定めることができるが、約定した保証期間が、主たる債務の履行期間より短く、又は主たる債務の履行期間と同時に満了する場合には、約定していないものと見なす。約定せず又は明確に約定していない場合の保証期間は、主たる債務の履行期間が満了した日から6カ月間とする。

変化その三:一般保証の保証人が保証責任を拒絶できない例外事由が増加
「民法典」施行後に増えた例外事由:
債務者が行方不明であり、かつ、執行に供することができる財産がない場合に、保証人は債権者に対して「検索の抗弁権」(先に主債務者の財産を差し押さえろと債権者に要求)を主張できない。
債務者の財産が債権の全部を履行するのに不足し、又は債務を履行する能力を喪失し、その旨を証明する証拠が債権者にある場合には、保証人は「検索の抗弁権」を主張できない。
法的根拠:
「民法典」第687条第2項:一般保証の保証人は、主契約にかかる紛争につき裁判又は仲裁を経ず、かつ、債務者の財産について法により強制執行してもなお債務が履行不能になるまでは、債権者に対して保証責任を負うことを拒絶する権利を有する。ただし、次に掲げる事由の一つがある場合を除く。
(一)債務者が行方不明であり、かつ、執行に供することができる財産がないとき。
(二)人民法院が債務者の破産事件を既に受理しているとき。
(三)債務者の財産が債権の全部を履行するのに不足し、又は債務履行能力を喪失し、その旨を証明する証拠を債権者が有するとき。
(四)本項に定める権利を放棄する旨を保証人が書面により表示しているとき。

変化その四:債権者の債権譲渡には保証人への通知が必要、さもなければ、保証人に対して無効
「民法典」実施前:通知は必要ない。保証期間内に、債権者が合法的に債権を譲渡する場合に、保証人は元の保証範囲内で引き続き保証責任を負う。
「民法典」実施後:通知が必要。通知しない場合は、保証人に対し効力は発生しない。
法的根拠:
「民法典」第696条:債権者が債権の全部又は一部を譲渡するにあたり、保証人に通知しない場合には、当該譲渡は、保証人に対し効力は発生しない。保証人と債権者とが債権の譲渡を禁止する旨を約定した場合において、債権者が保証人による書面による同意を経ないで債権を譲渡したときは、保証人は譲受人に対して保証責任を負わない。
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