匿名株主の株主資格確認を提訴できる主体は?

2023. 5. 19

匿名株主の株主資格確認を提訴できる主体は?

Q: 匿名株主以外に匿名株主の株主資格を確認する提訴ができる主体はだれか。

   A:匿名株主には自身の株主資格の確認を提訴する権利があるが、実際においては、自身または会社の債務リスクを回避するため提訴を避けることが多い。このため、法律では、匿名株主以外の主体でも下記のように、匿名株主の株主資格確認を提訴して株主資格確認訴訟の原告となれる仕組みが作られている。

1. 名義株主
   有限責任公司の持分代理保有のケースでは、匿名株主と名義株主が委託契約関係を構築していて、名義株主が代理保有を継続したくない場合には、名義株主は代理保持関係の契約相手方として株主資格確認の訴訟と直接的な利害関係を有していることから、原告になることができる。

2. 会社自身
   本質的に、株主資格確認訴訟で解決することは持分の帰属問題であり、これは、会社の権利主体と密接な関連を有している。そのため、会社自体が原告になれる可能性は排除できない。例えば、持分代理保有者が死亡し、会社の持分を整理する必要がある場合においては、会社は株主資格を確認する必要があるので、株主資格確認訴訟の原告となることができる。

3. 会社に対する債権者
   「最高人民法院による『中華人民共和国会社法』の適用に関する若干の問題についての規定(三)」によると、会社の債権者は、まだ出資していない名義株主に対して権利を主張できると規定している。同時に、地方の司法実務においても会社の債権者に相応の訴訟権利を認めている。例えば、上海市高級人民法院による「会社訴訟案件の審理に係る若干の問題についての処理意見(二)」では、会社の債権者が実際の出資者と名義株主を共同被告として訴えた場合、人民法院は案件の実情に基づいてその両者に対して連帯責任を課す判決を下すことができる。即ち、会社の債権者は、匿名株主に対しても連帯責任を請求することができ、その前提条件は匿名株主の株主資格を確認することであるため、会社の債権者は株主資格確認訴訟の原告になることができる。

4. 匿名株主に対する債権者
   匿名株主の債権者にとって名義株主が代理保有する持分は、本来匿名株主の責任財産である。持分代理保有関係が債権の前に発生していた場合には、匿名株主の債権者は株主資格確認訴訟の原告となることができ、隠匿株主の株主資格の確認を提訴することができる。
   ただし、持分代理保有関係が債権の後に発生し、債務者が代理保有という手段によって無償または低価で財産を名義株主に移転している場合には、債権者による権利取消の訴訟でしか救済が実現できないことに注意が必要である。

5. 匿名株主から持分譲渡された譲受人
   匿名株主から持分を譲り受け、かつ、名義株主に通知している場合は、持分譲受人には譲り受けた持分が譲渡人の責任財産であると定義することが困難であるため、株主資格確認を提訴する根拠は上記の匿名株主に対する債権者の状況とは異なる。実務においては、例えば、譲受人が実際に株主の権利(株主会での議決権行使、会社からの配当金分配、株主としての経営管理への参画を含む)を行使し、かつ、他の過半数の株主が異議を申し立てていなかった場合、譲受人は原告として匿名株主資格確認を提訴することができる。


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