商標冒認出願に積極的に対応する

2020. 12. 18

商標冒認出願に積極的に対応する

——拓野科技商標権紛争案における有益な啓発


【拓野科技商標権紛争案の顛末】
   AMBIQ MICRO, INC.は米国の会社で、2010年1月20日に設立されました。2013年4月、米国の法律に基づいて米国で「AMBIQ MICRO」商標(第9類の半導体装置)の登録認可を得ました。2014年1月から、同社は複数のディーラー(同案の別の被告の上海富士通公司を含む)を通じて中国でその集積回路製品の販売を開始しました。2015年12月31日までに、AMBIQ MICRO, INC.は半年で40万ドルを超える実際の輸入販売記録を保持しており、且つ多数の業界ジャーナルやウェブサイトが当該実績を報道しているのは確かでした。
   2015年12月18日、拓野会社は香港で登録設立されました。同年12月31日、同社は中国商標局に第18766213号「Ambitmicro」の商標登録を出願し、2017年2月7日に登録が許可され、第9類のコンピュータ記憶装置、コンピュータハードウェア、チップ(集積回路)、半導体デバイスなどの商品に使用されていることが確認されております。拓野は設立後、実際には経営を行っていませんが、2017年5月31日から幾度に亘りAMBIQ MICRO, INC.とその株主、AMBIQ MICRO, INC.の中国における複数のディーラーに対し警告状の送付を行い、被告の「Ambiq Micro」チップなどの製品は原告の登録商標専用権を侵害していると訴えていました。
   この挑戦に対して、AMBIQ MICRO, INC.は2017年7月に悪意のある冒認出願を理由として国家商標審査委員会に無効宣告請求を提出しました。商標無効事案がまだ進行中であるにも拘らず、2018年7月、拓野会社はAMBIQ MICRO, INC.を提訴し、権利侵害の停止と賠償金40万人民元を要求しました。

【審判の結果】
   最終的に効力のある裁判文書において、裁判官は下記の通り認定しました:
  • AMBIQ MICRO, INC.は中国において係争商標を先行して使用している――即ち2014年1月からディーラーを通じて中国で被疑侵害製品の販売を開始している。
  • AMBIQ MICRO, INC.が輸入、販売する「AMBIQ MICRO」商品は、拓野会社が係争商標登録を出願する前に、一定の販売規模とメディア報道量があり、集積回路業界において既に一定の影響を有している。
  • 事案に関わる商標登録の類別、すなわち「半導体器材」などは科学技術集約型の製品であり、拓野会社の原告は当該業界の技術能力を備えておらず、かつ経営実態がない。
  • 拓野会社は商標登録を取得してから実態としては使用していないにも拘わらず、直ちに大量の権利侵害警告状を発送し、政府部門に提訴を行っているが、当該商標登録には実質的な使用意図を持っておらず、実態としては使用されていない。
   以上の事実認定に基づき、裁判所は最終的に原告の登録出願と商標権の行使が信義誠実の原則に違反していると判断したため、判決はその訴訟請求を却下しました。

【啓発】
   近年、外国企業は中国での発展機会をますます重視して来ており、中国市場の開拓に努力しています。しかし、外国企業は中国に参入する過程で、商標登録を重視しないと、下心のある人にチャンスを与える可能性が存在しています。
   中国市場に参入する前に、先ずは商標検索や中国の商標登録などの予防措置をしっかりと行う以外に、事実として第三者に冒認出願されていたら、やはり冒認出願者の提出する法律の挑戦に積極的に対応しなければなりません。上記事案は素晴らしい啓発になっています。
   先ずは、商標行政手続きを積極的に利用し、商標冒認出願効力に対する各種の行政措置を速やかに提出します。例えば、本件で言及された無効宣告(原則として商標登録の日から5年以内)、また例えば商標冒認出願が往々にして実態として使用しされていない場合、適時に三年間の取消申請を提出します(原則として商標登録の日から3年以内)。
   更に、自社に有利な証拠を積極的に準備、収集し、本件が提示したように、証拠としては先行して使用している証明書、中国市場において既に影響力を有している証明などがあります。このほか、冒認出願者やその株主、法定代表者など重要な関係者の調査を強化し、冒認出願のディーラーや協力業者など特定の証拠を発見した場合、権利の保護も大きな助けになります。

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