『国外薬品上市許可所持者国内代理者管理暫定規定(意見徴収稿)』の解読
『国外薬品上市許可所持者国内代理者管理暫定規定(意見徴収稿)』の解読

NMPAより2020年8月3日に『国外薬品上市許可所持者国内代理者管理暫定規定(意見徴収稿)』を公布し、意見徴収を行うことになり、意見徴収期間は2020年8月21日まででした。
https://www.nmpa.gov.cn/xxgk/zhqyj/zhqyjyp/20200803190645124.html
2019年12月1日より施行された「薬品管理法」では、MAH制度が今回の改正法の目玉となっています。その中で、海外MAHは中国国内の企業法人(以下「国内代理人」と略称する。)を指定し、その医薬品上市許可保有者の義務を履行しなければならず、医薬品上市許可保有者と連帯責任を負うという規定は更に熱い議論を引き起こしました。当該中国国内代理人の条件、及び海外MAHはどのような国内代理人を選択すべきかは、まさしく海外MAHとして製薬企業が注目すべき重要なポイントとなっています。8月3日、国家薬品監督管理局は「海外医薬品上市許可保有者の中国国内代理人管理暫定規則(意見募集稿)」を公布し、国内代理人の条件、義務、管理及び責任の認定等について比較的詳細な規定を設けています。以下、意見募集稿の中の注意すべきポイントについて簡単に分析します。
1. 中国国内代理人の主体制限
「薬品管理法」第三十八条は、海外MAHが指定する国内代理人は中国国内の企業法人でなければならないと明確に定めていますが、本意見募集稿第五条にも同様の内容が記載されています。これにより、代表処や支社等独立法人資格を備えない組織機構は中国国内代理人となることができません。
このほか、意見募集稿は中国国内代理人の資質について特別な条件(例えば、「薬品生産許可証」又は「薬品経営許可証」等を備えなければならない)を設けておらず、理論上、一般の会社であっても国内代理人とすることはできます。
2. 中国国内代理人の数の制限
2020年7月1日に施行された「薬品生産監督管理弁法」第四十七条によると、海外MAHが指定できる国内代理人は1社のみです。また、本意見募集稿第二条によれば、海外MAHは複数の薬品登録証書を保有する場合であっても、1社の代理人しか指定できません。
3. 中国国内代理人の責任と義務
本意見募集稿第六条によると、中国国内代理人は品質保証システム、医薬品の追跡制度、年度報告制度、上市後の変更管理制度、医薬品警戒システムの構築をはじめ、医薬品上市後のリコール、品質の苦情処理、賠償事務、また監督管理部門からの抜き取り検査や海外で行われる飛行検査(抜き打ち検査)に協力するなど、医薬品上市許可保有者が負うべき責任義務を履行しなければなりません。
4. 中国国内代理人を指定する手続き
本意見募集稿第七条によると、海外MAHは代理人に授権した日から30営業日以内に当該代理人の登録地の省級薬品監督管理部門に届出を行い、かつ第九条に定める代理人との授権委託書、双方の責任リスト等を含む代理人の基本情報を提出しなければなりません。
また、第九条には規定されていませんが、第六条では代理人は品質保証システム、医薬品追跡制度、年度報告制度などを確立しなければならないと定められている内容から、関連する証明資料を準備しておき、求められる可能性のある書類審査に備えたほうが無難です。
5. 無指定・不届出の結果
本意見募集稿第十五条によると、中国国内代理人の届出証明は「輸入医薬品通関表」「輸入許可証」を申請するために必要な書類であるため、もしMAHがこの届出証明を提出できなければ、医薬品を輸入できなくなる可能性があります。
この意見募集稿はまもなく正式に公布・実施され、海外MAHの輸入業務などに大きな影響を与えると予測します。外資系製薬会社としては、この意見募集稿を真剣に研究し、早めに準備したほうがよいとお薦めします。