湖北│生態環境コンプライアンスを重視せよ

2023. 12. 8

湖北│生態環境コンプライアンスを重視せよ

   このほど、湖北省の高級人民法院は、「湖北法院における2018-2023年度環境刑事裁判白書」(以下「白書」と略す)を発表した。白書は5部に分かれており、序文を除いて、次の内容から構成されている。長江大保護のための湖北法院による刑事審判の基本状況、長江大保護のための刑事司法の展開に関する主要な経験と実践、存在する主要な課題、長江大保護のための刑事裁判を多様化させる湖北法院による展望で、長江デルタ地帯の生態系保護に対する湖北省の法的保護に重点が置かれている。

   白書によれば、過去5年間に、湖北法院は長江流域の生態環境保護に関わる刑事事件を合計8898件結審し、長江の生態環境保護に強力な司法保障を提供している。過去5年間において、事件数は最初に増加し、その後に減少する傾向にあることがみられ、その中で、盗伐・濫伐林木罪、水産物不法捕獲罪、鉱物不法採掘罪の三大犯罪が約60%を占めている。特に、水産物不法捕獲罪は年々増加しており、長江流域の生態環境保護に関わる刑事事件で「No.1」の犯罪となっている。

   白書は、5年間の司法実践を経て、現在湖北省では「環境保護法廷+生態環境保護と修復の実践基地+巡回裁判拠点」という環境資源に関する裁判の専門的体系がおおむね形成されたとしている。長江の生態環境保護に関わる刑事事件の審理において、事件類型と各事件の状況に基づき、認罪認罰従寛制度(注:被告側が自発的に犯罪事実を認め,処罰を受けることに同意した場合,法に基づき寛大に処理することができるとする制度)の運用を組み合わせて、生態環境の修復を履行することを適用した判決の執行方法が行われている。例えば、植樹による回復、放流による増殖、労役による罰金の代替、炭素吸収源の購入など、積極的に多様な責任の引受方法が適用されている。また、湖北省の法院は、江西省、湖南省、河南省、陝西省、重慶市等の長江流域の省・市の法院と協力し、複数の省・市をまたぐ環境保護司法協力プラットフォームを構築し、長江流域の生態環境に関わる不法行為・犯罪に対する取締を全面的に強化しつつある。生態環境コンプライアンスは既に、長江流域にある企業(特に生産企業・建設企業)の経営に極めて重要な影響を与えるようになっている。一度でもコンプライアンスに違反している事態が発見された企業は、軽くても優遇待遇が取り消され、過料が課され、重い場合には刑事犯罪の嫌疑がかけられることになる。そのため、常に最新の政策や法律の動向に注目し、定期的なコンプライアンス勉強会の開催を重視し、自主点検・自主訂正をしっかりと行っておくよう提言したい。

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