欧米の多国籍企業幹部は対中投資に自信

2023. 6. 12

欧米の多国籍企業幹部は対中投資に自信

シニアパートナー弁護士   張 駿

   ご存知のように、先日、米国テスラ社のイーロン・マスクCEOが中国を訪問し、多くの中国高官に迎えられ、国内外から大きな関心を集めています。

   マスク氏は5月30日に北京、31日に上海に到着し、中国国務委員兼外交部長、中国商務部長、中国工業情報化部長をはじめとする中国政府の高官と会談し、同社最大の上海ギガファクトリーを訪問したと報じられています。マスク氏の訪問は、上海ギガファクトリーだけでなく、1ヶ月以上前に発表された上海で新設する大型蓄電システム工場にも関連するものでした。

   今回の訪問が注目されたのは、米中間の貿易関係が「デカップリング」や「ディリスキング」という課題に直面しているからですが、マスク氏は中国国務委員兼外相の秦剛氏、商務部長の王文涛氏との会談で、米中の利益は互いに連結して切っても切れない関係に絡み合っているとして、テスラ社は「デカップリング」に反対し、今後も中国でのビジネスを拡大して中国の発展の機会を共有することを望んでいると発言しました。また、マスク氏は中国の発展の活力と潜在力を賞賛して、中国市場に対する自信が満ちているとし、今後も互恵的な協力を深めていく意志を表明しました。

   マスク氏以外にも、今年に入ってから、P&Gのジョン・メラーCEO、アップルのティム・クックCEO、メルセデスベンツのオラ・ケレニウスCEO、スターバックスのラクスマン・ナラシムハンCEOなどなど、数多くの多国籍企業の幹部が中国を訪問して交流や投資協議を再開し、中国経済への信頼と協力関係の深化に向けた意欲を表明しています。

   これは、一部の国が提唱する「デカップリング」や「ディリスキング」が中国への外資誘致に大きなチャレンジをもたらし、一部の多国籍企業では確かに対中国戦略を調整していますが、中国が改革開放とビジネス環境の最適化を堅持するなかで、外資にとって中国投資の見通しは依然として高い信頼性を維持していることが主流であることを示しています。「デカップリング」や「脱リスク」の影響を大きく受けているハイテク業界においても、中国商務部のデータによると、今年1月から4月にかけて、実行ベースの外資導入額は伸び続け、ハイテク産業の成長率は12.8%で、そのうちのハイテク製造業の成長率は37.1%に達しています。

   日本企業にも積極的な投資がみられています。例えば、日本最大のビール会社であるアサヒグループは、再び中国市場に狙いを定めたと発表しました。アサヒグループホールディングス社の勝木敦志CEOは最近のインタビューで、中国のプレミアムビール市場は近年、国際ブランドやクラフトビールの参入で盛り上がっており、世界最大のビール市場である中国への投資を復活させるべく、中国市場への回帰を計画していると述べています。

   これらのように、国際環境と市場環境が急速に変化するこの時代においても、中国には依然として外資を引き付ける独自の魅力があります。低い労働コストで競争優位を得る時代はすでに終わり、戻ることはないでしょう。しかし、中国では中産階級が日に日に増加し、産業のハイテク化が進むもとで、新たな需要が絶えず創出され、外資にとって中国での競争優位をもたらす機会を提供されています。

   中国市場の新しいトレンドに沿った的確な投資経営戦略を策定し、中国市場の育成に参画して中国市場をつかみ取り、中国経済がもたらす発展の配当を共にシェアし続けていきましょう。
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