法定代表者の法的リスクと責任について

2022. 9. 23

法定代表者の法的リスクと責任について

Q: 会社の法定代表者を担う際、どのような法的リスクや責任に直面する可能性がありますか?

   A:「中華人民共和国民法典」により、法人の法定代表者とは、法律または法人の定款の規定に従って法人を代表して民事活動に従事する責任者であり、董事長、執行董事または総経理のいずれもが法人の定款の規定に従って任を負う。一般的に、法定代表者は会社を代表して職務を履行する行為によって個人的な法的責任を負うことはないが、ある場合には法定代表者の特別な身分により、法的責任を負う必要があるリスクに直面する。実務において、実際の管理者が法定代表者になっても、名ばかりの法定代表者になっても、同等の責任を持ってリスクを負うことになる。具体的には、主に下記のような状況の法的リスクまたは責任が存在する。
 
一、会社の訴訟による法定代表者の個人的リスク
   会社の法人地位は法律が制度の擬制によって与えられたものであり、会社は実際の意味で現実に存在する「人」ではないため、会社が訴訟に関与する場合、まずは法定代表者が会社を代表して訴訟に参加する必要があるが、当然のことながら会社が他の従業員や弁護士に参加を依頼することもできる。会社が失信被執行人リスト(信用喪失被執行人)に入れられている場合、裁判所は直接、法定代表者の本人を失信被執行人とすることはできないが、法定代表者に移動、住宅購入、車購入、子供の私立学校への入学などの高消費の制限措置がとられる可能性がある。またはインターネットに掲載されたり、出国を制限したり、裁判所の調査執行に積極的に協力するよう求められたり、さもなければ拘束され、罰金・拘留の処罰に直面する可能性がある。

二、法定代表者個人が職務を遂行できなかった場合の賠償責任
   「中華人民共和国公司法」は、董事、監事、高級管理者が職務を遂行できなかったり、法律・行政法規に違反したり、かつ会社に損失を与えた場合に賠償責任を負うことを規定している。また、株主の利益を損なう場合、株主が董事、監事、高級管理者に対して人民法院に訴訟を起こすことができる。前述のように、会社の法定代表者は董事、監事、高級管理者のいずれかが務めるため、上記のような状況が発生した場合、法定代表者が責任を負う必要がある。

三、会社の税金欠納による法定代表者の出国制限
   「中華人民共和国税収徴収管理法」により、税金欠納の会社の法定代表者が出国する必要が生じた場合、出国前に税務機関に対して裁定の納税税額の清算、滞納金或いは担保を提供しなければならない。然もなければ、税務機関は出国管理機関に通知を行い、その出国を阻止できる。従って、会社の法定代表者として、自由に出入国できるか否かは会社の納税状況に影響されるため、法定代表者は会社の税務状況を重視し、上記の状況の発生を避けるべきである。

四、破産手続きに入った会社の法定代表者の責任
   「中華人民共和国破産法」の規定により、破産手続に入った会社の法定代表者は、人民法院の許可を得ることなく住所地を離れてはならず、随時、裁判所に協力する。然もなければ、訓戒、拘留、罰金などの処罰を受ける可能性がある。また、会社の破産に対して個人的な責任を負う法定代表者は、当該会社の破産手続が終了した日から3年間、いかなる会社の董事、監事、高級管理職を務めてはならない。このところから、会社は法律上、独立した法的人格を持っているが、破産手続中は債権者の権利を保護し、破産手続の秩序だった推進を保障するために、法定代表者の権利を制限することが不可欠な手段となる。従って、これも、法律によって法定代表者に会社の日常における生産経営に対して慎重に責任を負うことを逆に促し、会社が倒産の窮状に陥るのを避ける表現である。
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