使用者は労働者と競業の規制を約定できるか?

2021. 5. 31

使用者は労働者と競業の規制を約定できるか?

Q:使用者は労働者が退職後に、使用者と競争関係のある職場に勤務しないという競業避止義務を定められるか?

A:約定できる。
1.  締結状況・範囲
「労働契約法」第23条に基づき、使用者と労働者は、労働契約において、使用者の商業秘密の保持及び知的財産権に関連する秘密保持事項について約定することができる。使用者は、秘密保持義務を負う労働者との労働契約または秘密保持契約において競業避止義務条項を約定し、かつ、労働契約の解除または終了後に、競業避止義務期間内において月ごとに労働者に経済的補償を与えることを約定することができる。労働者は、競業避止義務の約定に違反した場合、約定に従い使用者に対して違約金を支払わなければならない。
「労働契約法」第24条に基づき、競業避止義務を締結できる人員は、使用者の高級管理職者、高級技術者及びその他の秘密保持義務を負う者に限られる。競業避止義務の範囲、地域及び期限は、使用者と労働者で約定し、競業避止義務の約定は、法律法規の規定に違反してはならない。

2.  法律責任
注意すべき点は、競業避止義務制度は、本質的には労働者の就業権利を制限するものであり、使用者は契約に従って労働者に代償措置として経済補償を支払うものと規定されていることである。使用者が約定通りに労働者に経済補償を支払わない場合については、「最高人民法院による労働紛争事件の審理に関する法律適用問題に関する解釈(一)」第38条の規定として、当事者は労働契約又は秘密保持契約の中で競業避止義務と経済補償を約定し、労働契約の解除又は終了後に使用者の原因により三ヶ月間経済補償が支払われなかった場合に、労働者が競業避止義務の解除を請求した場合には、人民法院は支持を与えなければならないとしている。
競業避止義務制度は、使用者の商業秘密、知的財産権などを特別に保護する制度であり、使用者は、制度の保護を享受する時に、自身の義務を無視することができない。労働者がすでに競業避止義務を履行している状況で、労働契約又は秘密保持契約において労働契約を解除又は終了した後に労働者に経済補償を与えると約定されていない場合には、「最高人民法院による労働紛争事件の審理に関する法律適用問題に関する解釈(一)」第36条に基づき、労働者が使用者に対して労働契約を解除又は終了する前12ヶ月の平均賃金の30%を月ごとに経済補償として支払うよう求めた場合、人民法院はこれを支持しなければならないとしている。当然、競業避止義務を負う労働者は退職した後も、法及び契約による守秘及び競業避止義務を履行しなければ、相応の法律責任を負うことになる。

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