住宅積立金の追納遡及には期限があるか?

2026. 8. 28

住宅積立金の追納遡及には期限があるか?

Q:住宅積立金の追納遡及には期限があるか?

   A:住宅積立金の納付は、雇用者に対する法的強制力を伴う義務である。現行の関連法令によれば、住宅積立金の追納には時効の制限がなく、かつ法的強制力を有する。

   1. 住宅積立金の納付は雇用者の法的義務
   「住宅積立金管理条例」では次の通り規定している。
  • 第2条 本条例は、中華人民共和国領内における住宅積立金の納付、引出、使用、管理及び監督に適用する。本条例でいう住宅積立金とは、国家機関、国有企業、都市・鎮の集団所有制企業、外国投資企業、都市・鎮の私営企業とその他の都市・鎮の企業、事業単位(注:国や地方の予算で運営され、教育、科学技術、文化、衛生などの非営利活動を行う事業体)、民営非企業組織、社会団体(以下、総称して「単位」という)及びその在職従業員が納付する長期住宅貯蓄金をいう。
  • 第20条 単位は期限通りに、かつ不足なく住宅積立金を納付しなければならず、納付の遅延または過少納付をしてはならない。住宅積立金の納付に確かに困難がある単位については、当該単位の従業員代表大会または労働組合の審議可決を経て、住宅積立金管理センターの審査を受けて、住宅積立金管理委員会の承認を得た後に、納付比率を引き下げるか納付期限を猶予することができる。単位の経営収益が改善した後に、納付比率の引き上げまたは猶予分の追納を行う。
   すなわち、外国投資企業は明確に条例の適用範囲に含まれ、在職従業員のために毎月住宅積立金を全額納付する法的義務を負っている。社内の規則制度や、労使双方による不納付もしくは過少納付の約定、あるいは現金補助の支給による納付代替などのいずれの事由も、企業の法的納付義務及び追納義務を免除するものではない。

   2. 法定納付基数の構成について
   関連規定によれば、住宅積立金の納付基数は、従業員本人の前年度における月平均賃金である。ここでいう従業員の「月平均賃金」とは、国家統計局の規定に基づき賃金総額に算入される統計項目に従って算出される。
   国家統計局令第1号の「賃金総額の構成に関する規定」第4条によれば以下のとおりとなる。「賃金総額は次の6項目で構成する。(1)時間賃金、(2)出来高賃金、(3)賞与、(4)手当及び補助金、(5)時間外労働賃金、(6)特別な事情により支払われる賃金」。すなわち、住宅積立金の月間納付基数には、基本給与のみならず、各種の賞与(例えば、年末賞与、業績賞与、皆勤賞、安全賞、その他各名目の奨励金)、手当・補助金(例えば、毎月固定支給される交通手当、通信手当、住宅手当など)が含まれる。近年頻発している住宅積立金の追納事例を見ると、外資企業が追納を命じられる事由の多くは、法定の「賃金総額」を基数として従業員の住宅積立金を納付していなかったことによる。こうした事例は、雇用者による過少納付に該当し、法令に基づき不足分を追納しなければならないとされている。

   3. 住宅積立金の過少納付に関する法的責任について
   「住宅積立金管理条例」第38条において、「雇用者が期限通りに住宅積立金を納付せず、または過少納付した場合には、住宅積立金管理センターが期限を定めて納付を命じるものとする。期限を経過した後もなお納付しない場合には、人民法院に強制執行を申請することができる」と規定している。言い換えれば、従業員が住宅積立金の過少納付を申し立てた案件は、原則として住宅積立金管理センターが処理し、住宅積立金管理センターは申立を受理した後に法令に基づき調査・証拠収集を実施し、事実が確認された場合には雇用者に期限を定めて追納を命じることになる。雇用者が追納を拒絶する場合に、住宅積立金管理センターには人民法院に強制執行を申請する権限を有することになる。

   4. 追納の遡及可能な期間について
   「住宅積立金管理条例」及び関連規定によれば、住宅積立金の納付は法的強制力を有する雇用者の義務であり、会社の清算・合併・分割や従業員の離職によって消滅することはなく、また「労働監察保障条例」で定めている2年間の調査処分時効も、労働争議における1年間の仲裁時効の制限も適用されない。
   実務上、従業員から追納の申し立てがあった場合、従業員が離職後長年にわたり主張していなかったことや、社内の規程、離職合意書における紛争しない約定などを理由として、雇用者が法定の追納義務に対抗することは容易ではない。従業員には離職して既に長年経過している場合でも、在職期間中の全不足分の追納を雇用者に請求する権利がある。住宅積立金管理センターは、従業員の申し立てを受けた後に職権に基づき追納を行うことになる。確かにこうした場合、雇用者は調査または納付命令文書を受領した際に、住宅積立金管理センターと良好なコミュニケーションを持つことが望ましく、必要に応じて行政不服審査または行政訴訟により救済権を行使することもできなくはない。ただし、行政不服審査または行政訴訟の期間中においても、納付命令文書の執行は停止されず、期限を過ぎても履行をしない場合に住宅積立金管理センターは人民法院に強制執行を申請することができ、企業の信用公示に不利な影響を及ぼしかねないため、対応には慎重を要する。実務上、個別事案の処理において、雇用者と従業員が一括補償プランに合意し、従業員が申し立てを取り下げた場合、一部の地域の住宅積立金管理センターではこれを認めることがあるが、具体的状況に応じて検討する必要がある。現状では、追納申立を行った個人に補償することが他の従業員へ波及することを懸念し、強硬な姿勢をとる雇用者も少なくない。
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