収賄行為に対する行政処罰の実務状況について

2026. 7. 8

収賄行為に対する行政処罰の実務状況について

Q:新しい「不正競争防止法」の施行後、収賄者に対しても行政処分を科すことが可能となったが、実際にそのような事例は既に存在するのか。また、そのような事例において注目すべきポイントは何か?

   A:確かに、商業賄賂の成立要件については、2025年改正「不正競争防止法」において実質的な変更はなかったものの、責任追及の対象範囲については改正法第24条において賄賂を収受した法人·機関および個人に対しても違法所得の没収に加え10万元以上100万元以下の過料を科し、情状が重大である場合には100万元以上500万元以下の過料を科すことができると定められた。検索で確認しただけでも、昨年末以降いくつかの地域で市場監督管理部門による処分事例が公表されている。

   例えば、広西では、市場監督管理部門の調査により、A文化伝播会社がB旅行会社の添乗員に旅行客をA社の運営する店舗へ誘導させ、消費した金額に応じて一定割合のリベートをA社従業員の個人名義口座から計36回にわたりB旅行会社従業員の個人口座へ合計21.6656万元送金していたことが判明した。最終的に、収賄行為が認定されたB旅行会社に対し、違法所得21.6656万元の没収および21.6656万元の過料が科された。また、新疆では、現地のある病院が3社の医療機器会社から計6台の医療機器の寄贈を受ける一方で、当該3社に対して消耗品を独占的に供給する特権を付与していたことを市場監督管理部門が把握し、当該病院の行為は収賄行為に該当すると認定し、違法所得650,933.40元の没収および15万元の過料を科した。

   現時点で確認できるこれらの行政処分事例からは、以下の点が読み取れる。

   1)収賄側については、一般的に収受した賄賂財産の金額が違法所得として認定されている。

   例えば、上記2件の事例では、判明した送金額又は贈与された医療機器の価額を違法所得として認定している。このような認定方法は、「市場監督管理行政処罰案件における違法所得の認定弁法」で定める「違法所得とは、当事者が実施した違法行為と直接関連し、当該違法行為に基づき直接取得した金銭その他の利益をいう」との規定にも合致している。

   2)二つの事例とも収賄額は決して少額ではないものの、実際に科された過料はそれほど重いものではなかった。広西の事例では過料額は収賄額と同額であり、新疆の事例では病院に対して15万元の過料を科すにとどまった。改正後の「不正競争防止法」が定める一般情状における10万元~100万元、重大な情状における100万元~500万元という過料水準と比較すると、いずれも一般情状として取り扱われ、かつ比較的軽い水準の処分であったといえる。

   しかし、これは今後のほかの案件においても同様に比較的軽い処分となることを意味するものではない。特にこれら2件の事例における収賄額はいずれも法人による収賄として刑事責任が追及され得る水準に達していることから、今後、他の地域で同様の事例が発生した場合にはより高額な過料が科されるのみならず、公安機関へ事件が移送されて刑事責任を追及される可能性も否定できない。

   3)改正後の「不正競争防止法」は2025年10月15日から施行されており、それ以前の法律には収賄者に対する行政処分規定は存在しなかった。そのため、調査対象となった事業者が処分の軽減又は処分免除を求める上で、法施行前と法施行後の行為を厳格に区別することが有益である。

   前述の新疆の事例では医療機器の寄贈行為自体は2024年以前に行われている。公開されている情報からは完全な事件記録が確認できないため、執行機関が処分に当たりこの時期を考慮したかは不明だが、厳密にいえば行政処分の免除を主張できる余地があった可能性もある。もちろん、この点からも、過去の営業活動において収賄行為に該当する可能性がある法人又は個人に対しては、改正法の施行に伴って違法行為を速やかに中止することが極めて重要であることを示唆するものである。
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