両用物品の輸入にも許可証は必要ですか?
2026. 4. 29
両用物品の輸入にも許可証は必要ですか?

Q:両用物品の輸入にも許可証は必要ですか?
A:一般的に両用物品(両用品目)とは、民生で普通に使えるものでありながら、軍事面でも活用できたり、軍事力の強化に役立ったりするモノ、技術、サービスを指します。特に大量破壊兵器やそれを運搬する手段を設計・開発・製造・運用する際に使えるものがこれに該当します。両用物品が注目を集めるようになったのは、中国を含む世界の主要な経済国がこれらの海外流出(輸出)を規制し始めたからです。ただ実際には、海外から買い入れる(輸入する)際にも、法律に従って輸入許可証を取得する必要があります。
2025年12月31日に発表され、翌 2026 年1月1日から適用が始まった「両用物品・技術輸出入許可管理リスト」には、輸入許可証管理に特化したリストも含まれています。この輸入許可証管理品目リストには、法令で定めた監視対象の化学物質74品目、毒性薬物の原料となる(前駆体)化学物質63品目、放射性同位元素10品目、それに商用暗号関連で輸入許可が必要なもの4 品目が記載されています。気をつけなければならないのは、掲載されている品目や技術は、リスト内に税関の商品コード(HSコード)が明記されているか否かに関わらず、いずれも定められた手続きに従って輸出入の許可を取得しなければならないことです。
最近の税関での取り締まり事例を見ると、規則に違反した輸入行為は、両用物品の成分が含まれる貨物の輸入時に特に偏っています。化学品原料や日用品、電子機器などさまざまな品目が対象となっており、典型的なケースとして以下のような事例が見られます。
まず、両用物品リストの重要な区分を構成する毒性薬物の原料となる化学物質は、輸入に関する規制がとりわけ厳しく定められています。どのような形でこれらを輸入する場合でも、事前に許可を取得しなければなりません。実際の摘発事例を挙げると、ジャスミン精油(ジャスミンアブソリュート)やオレンジ精油(ネロリアブソリュート)と申告された輸入貨物から、いずれもベンジルアセトニトリルが検出された事例があります(上海浦東国際空港税関 滬浦機缉違字〔2024〕262号)。また、接着促進剤として使われる塩素化ポリプロピレンの輸入品からは、クロロホルムとも呼ばれるトリクロロメタンが含まれていることが確認されたケースもあります(上海浦江税関 滬浦江関缉違字〔2024〕422号)。ほかにも、輸入された危険性接着剤からトルエンが 40.9 パーセント含まれていた事例もあり、これは 40 パーセントという規制基準を超えていました(黄島税関 黄関缉違字〔2024〕32号)。
次に監視対象の化学物質についてです。代表的な事例として、輸入貨物に塩化チオニルが含まれていたケース(皇崗税関 皇関査一缉違字〔2025〕17号)、また塩化チオニルを正極材料として使用したリチウム電池を輸入したケース(上海浦江税関 滬浦江関缉違字〔2024〕495号)が挙げられます。塩化チオニルは、化学兵器の主原料となり得る第 3 種監視化学物質に該当します。一方で、リチウム塩化チオニル電池に関する規制については、国として運用緩和の措置が設けられています。工業情報化部・商務部・税関総署が 2025年12月9日に公表した「リチウム塩化チオニル電池の輸出入監視措置の最適化に関する通知」によると、第3種監視化学物質である塩化チオニルの封入量が1キログラム以下の単体電池または電池パックについては、含有量が極めて少ない上、分解しても塩化チオニルを抽出することが困難で、拡散リスクが極めて低いと判断されています。そのため2026年からこうした電池は「監視化学物質管理条例」及び「各種監視化学物質リスト」の管理対象から外れ、「両用物品輸出規制リスト」における監視化学物質の規制品目にも該当しなくなります。
最後に挙げるのは、日用品の中にも両用物品に該当する成分が含まれている場合があるケースで、これは見落とされがちです。例えば、香水からピペロナールという毒性薬物の原料となる前駆体化学物質が検出され、取り締まりの対象となった事例があります(平潭税関 嵐関缉違字〔2024〕3号)。また、ボディソープに含まれるトリエタノールアミンが問題となったケースもあります(北崙税関 甬北関缉不罰字〔2024〕16号)。この物質は監視対象化学物質に分類され、化学兵器の主原料となり得る第3種に該当します。

