改正「反不正競争法」の商業誹謗の禁止規定とは?

2025. 11. 19

改正「反不正競争法」の商業誹謗の禁止規定とは?

Q:「反不正競争法」(2025年改正)における「商業誹謗の禁止」に関する新たな規定とは?

   A:商業誹謗とは、一般に、事業者自身が、または他者を利用して、虚偽の情報を捏造、流布する等の不正な競争手段により、競争相手の名誉や商品信用を故意に誹謗・貶損し、その市場競争力を弱め、かつ、自己の不正な利益を図る行為を指す。新たに改正された「反不正競争法」(2025年10月15日より施行)では、商業誹謗に関する規定が以下のように更に整備された。

   表に示された通り、新たに改正された「反不正競争法」において、商業誹謗に関する規定には、下記のような重要な調整が行われた。

   1. 商業誹謗行為の損害対象が「競争相手」から「他の事業者」へと拡大
   2025年に改正されるまでは「反不正競争法」に規定された商業誹謗は「競争相手」の商業上の信用及び商品の評判に対する誹謗に限定されていた。しかし、競争環境が激化し、商業誹謗が多様化するにつれて、「競争相手」という適用制限により、多くの商業誹謗行為を効果的に取り締まることが困難になっている。この顕著になった問題を解決するため、今回の改正では、商業誹謗による損害対象を「競争相手」から「他の事業者」へと拡大した。つまり、不正競争行為は、同業者間の競争や現実に存在する競争関係に限定されず、「反不正競争法」で定義される事業者1に該当さえすれば、その生産・経営活動において市場競争秩序を乱し、他の事業者または消費者の正当な権利・利益を損害する行為を行えば、不正競争行為とみなされる。

   2. 規制範囲を拡大し、他人に指示して、虚偽情報又は誤導的情報を捏造・流布する行為を明確に禁止
   実務においてこの種の不正行為は、事業者自身が直接に商業誹謗を実行するのではなく、他者への指示、要請または依頼を通じて、関係が隔離された第三者に具体的な誹謗活動を実行させる特徴がある。散見される事例としては、次のようなケースが挙げられる。①ステルスマーケティング会社や口コミ業者を利用してインターネット上の書き込みを行わせる行為、②プロモーション会社による競合他社向けの不正注文や悪意評価する行為、③マーケティング会社/MCN/インフルエンサーによる競合製品への購買意欲を抑えるための広告行為やその他の不正比較広告行為。今回の改正により、事業者が第三者(メディアやセルフメディア、ステマなどを含む)を利用して、商業誹謗を行わせる行為に対しても、明確な法的規制が設けられた。

   3. 商業誹謗に対する罰則を強化し、過料の上限を300万元から500万元に引き上げ
   商業誹謗の本質は、競争相手或いは其他の事業者の商業上の信用又は商品の信用に対する不正競争行為である。SNS時代において、この種の行為は、オンライン上での中傷キャンペーンやネガティブな世論の炎上などを通じて急速に拡散し、企業の商業上の信用や商品の信用に深刻な打撃を与える。これは、企業のブランド評価と消費者の信頼を低下させるだけでなく、直ちに製品売上の急落や注文の減少を招き、企業に直接的な経済的損失とブランド損害をもたらすリスクが極めて高い行為である。したがって、今回の改正では法的制裁を強化し、一般的な不法行為に対す過料の上限額を100万元に、情状が深刻な場合の過料の上限額を500万元に引き上げた。

   以上を踏まえ、権益保護及びリスク管理の観点からいえば、企業が商業誹謗に対処するには、多角的な対策を講じることを推奨する。例えば:社内のコンプライアンス体制を整備すると同時に、外部の広告代理店やライブ配信事業者などのートナー企業に対し、定期的に管理・監督する必要がある。万が一誹謗被害に遭った場合、直ちにリンクやスクリーンショットなどの証拠を保全し、法的措置を講じなければならない。

1. 「反不正競争法」第2条第3項「本法において事業者とは、商品の生産、経営又はサービスの提供(以下「商品」という場合はサービスを含む)に従事する自然人、法人及び非法人組織をいう。」
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