新「会社法」で株主が出資期限まで履行しない場合、企業への主な影響と対策は?

2025. 6. 17

新「会社法」で株主が出資期限まで履行しない場合、企業への主な影響と対策は?

Q:新「会社法」において、株主が期限までに出資義務を履行しない場合、企業に及ぼす主な影響及びその対応措置は?

   A:2024年7月1日に施行された新「会社法」(以下「新法」と略称する)は、資本制度について体系的に改革、改善を行い、5年間の期限付き認証制、出資義務未履行時の取立て失権制度の導入、破産以外の状況における株主出資の期限利益喪失制度等を新設している。企業の観点から見ると、上述の制度が実際に運用される中で、株主が期限までに依然として出資義務を履行しない場合、企業の資本金の充足と債務弁済能力への直接的な影響に加えて、以下の影響が生じる可能性がある。
   (1)行政処罰リスク。出資としての通貨または非通貨財産を期限内に払い込まない場合、新法は5万元から20万元の固定額の罰則を追加し、さらに直接責任を負う管理職員およびその他の直接責任者に対する罰則規定を追加している。(新法第252条)
   (2)内部ガバナンスのバランスが破壊し、紛争を引き起こす。株主の出資状況は通常、持分比率や権益配分などに関連する。複数の株主がいる場合、出資していない株主は、全額出資を行っている他の株主の持分比率を希釈する可能性があり、株主間の矛盾や紛争を引き起こしかねず、企業のガバナンス構造の安定性に影響を与える。
   (3)企業所得税の税引き前控除への影響。投資家が規定の期限内に資本額を全額払い込まない場合、企業が外部から借り入れた資金に発生する利息のうち、実際に支払われた資本額と規定の期限内に支払うべき資本額の差額に相当する利息の部分は、企業の合理的な支出として認められず、企業が納税すべき所得額を計算する時、控除できない。(「企業投資家の投資額が満額ではないことにより発生した利息支出の企業所得税損金算入問題に関わる国家税務総局の回答」(国税函〔2009〕312号)の規定)

   株主が出資義務を履行しないことで企業経営に及ぼす深刻な影響を考慮する上で、企業は自社の実情に応じ、投資契約や定款作成、取締役会の職務監督の強化等によって、株主が出資を遅延または履行しない事態を防止することが推奨されている。同時に、新法の規定を踏まえて、出資義務を履行しない株主に対して、企業は以下の措置を検討することができる。
   (1)取締役会の書面による催促。新法によれば、取締役会は株主の出資状況を確認するものとされ、株主が出資を期限までに全額を払い込まない場合、会社は当該株主に対して書面による催告(60日以上の猶予期間を明記する)を発し、出資の払い込みを催促することとされている。
   (2)株主の権利に対する制限。催告期間中、会社は定款または株主総会の決議に基づいて、その利益配当請求権、新株優先購入権、余剰財産分配請求権などの株主の権利を合理的に制限することができる。
   (3)株主資格の解除。関連する株主が猶予期間を経過しても、なお出資義務を履行しない場合、会社は取締役会の決議に基づいて、当該株主に対して失権通知を発し、当該株主の資格を解除することができる。
   (4)出資の追徴及び違約責任。新法第28条に基づき、会社は未出資の株主に出資の補充並びに、利息の支払いを要求することができる。また、全額出資を行った株主は、未出資の株主に対して違約責任を負わせることができる。

   注意すべきことは、出資責任を履行していない株主に対する追責は、証拠の特定と手続の合法性の証明に関わることであり、実務においては持分構造の調整や訴訟など複雑な状況が発生する可能性があるため、必要に応じて弁護士などの専門家に相談し、実行可能な操作方案を作成することを推奨する。

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