新「増値税法」における変更点とは?
2025. 5. 20
新「増値税法」における変更点とは?

Q:「中華人民共和国増値税法」と「中華人民共和国増値税暫定条例」の比較において主な変更点は何か?
A:2024年12月25日、第十四期全國人民代表大會常務委員会第十三回会議において「中華人民共和国増値税法」(以下「増値税法」という)が可決された。この「増値税法」は2026年1月1日から施行予定である。その中から幾つかの要点を列挙して下記の通り紹介する。
1、「みなし売上」の範囲は以下の三つに削減された。
(1)事業者及び個人事業主が自社生産または委託加工した製品を、従業員の福利厚生または個人消費に使用する場合
(2)事業者及び個人事業主が無償で貨物を譲渡する場合
(3)事業者及び個人事業主が無償で無形資産、不動産又は金融商品を譲渡する場合
「委託販売」「県(市)を跨いで、その間で販売の目的で貨物を移送する」「他の事業者又は個人事業主に無償でサービスを提供する(金融商品を除く)」「自社生産、委託加工又は仕入れた貨物を投資に充てる」及び「自社生産、委託加工又は仕入れた貨物を株主又は投資家に分配する」等の行為を今後、販売とは見做さない。これは一定程度において、企業税務におけるコンプライアンスコストを低減させるものである。
2、売上税額から控除できない仕入税額の範囲が変更され、従来の「ローンサービス」が非控除項目から除外された。「増値税法」の実施後において、ローンや融資の利息の仕入税額が控除できる場合、一定程度において企業の融資コストを低下させると同時に、金融業務への課税負担にも影響を及ぼすものである。
3、売上税額から控除できない仕入税額の範囲が変更され、仕入れを控除出来ない「飲食サービス、居住者向け日常サービス、娯楽サービス」については、「購入後直接消費に充てられるもの」という限定条件が新設された。「増値税法」の実施後において、企業がこの三つに該当するサービスを購入する場合、用途を証明できる十分な証拠がある限り、関連する仕入税額について控除の余地が生じ得る。
4、簡易課税方法の徴収率:3%(従来5%だった課税取引を全て3%に統一)
労働派遣サービス、人材アウトソーシングサービス、不動産販売、不動産賃貸及び土地使用権の譲渡など、従来5%の徴収率が適用されていた課税取引が全て3%に統一される。特に上記の課税取引を行う小規模納税者の税負担に影響を及ぼすものである。