企業が通勤用に車を借りる際の注意点 | ダン・リーグQ&A
2025. 4. 8
企業が通勤用に車を借りる際の注意点 | ダン・リーグQ&A

Q:従業員の通勤や勤務時間内の外出等のために、通勤バスや公用車としてバスを借りる必要があり、カーリース会社からは運転手を付けることも出来ると言っていますが、この方式は問題ないのでしょうか。また、どのようなリスクがありますか?
A:リース車両にカーリース会社が運転手を付けて提供する場合は、一般的な車両のリース関係ではなく、旅客運送事業サービスに該当します。複数の人の指定時間・指定路線運送を伴う通勤バス事業は、「道路旅客運送及び停留所管理規定」第3条の貸切り車両旅客運送に属し、勤務時間内の外出走行用の公用車は、「タクシー運営サービス管理規定」で言うところのタクシー運営業に属します。つまり、これらはすべて旅客運送事業に属するものであり、単なる車両リースではありません。
このような場合、カーリース会社が旅客運送サービスの経営許可を持っているか、提供する車両が営業用旅客運送車両の登録・届出手続を行っているかが重要です。関連する許可等必要な政府手続がない場合、往々にして貴社に次のようなリスクをもたらします。
第一に、カーリース会社が非営業車両として保険に加入している場合、事故が起こったことで、カーリース会社が実際には旅客運送サービスを行っていることが判明した場合、保険の最大限の信義誠実の原則に合致していないことを理由に、保険会社は賠償を拒否し、会社の搭乗者の人身損害の賠償に影響を与える可能性があります。
次に、必要な資格のないカーリース会社を使用していることで、重大な交通事故が発生した場合、安全生産責任の確定において、貴社は責任がある一方として認定される可能性があるのと併せて、貴社に対して罰金が科せられ、貴社の主要な責任者に対しても刑事または行政責任が問われる可能性があります(この部分は、通勤バス業務におけるリスクとして特に顕著です)。
Q:運転手を付けるとリスクが高いのであれば、自社で運転手を手配して運転する場合は、どのようなリスクがありますか?
A:貴社で運転手を手配して運転させる場合、カーリース会社は単純な車両レンタル行為となり、旅客運送関係の許可申請は不要です。現在のところ、行政手続き上、小型マイクロバスの対外リースのみが所轄官庁に届け出る必要がありますが、借主側の法的リスクが大幅に増加することはありません。
ただし、貴社は以下の2つのリスクに注意する必要があります。
第一に、単なる車両リース関係であるため、貴社は車両の実際の使用者です。《民法典》の規定によれば、交通事故が発生し、車両側に責任がある場合、貴社は賠償責任を負うことになります。したがって、貴社は購入する保険の補償額を適切に増やすことも必要です。
次に、貴社が実際の使用者として、運転者が当該車両を運転する資格(運転免許)を有しているか否かに留意するとともに、車両の使用中における日常的なメンテナンスや状態管理、発車前の必要な点検を充分に行い、安全生産上のリスクを回避する必要があります。