会社は職務発明創造の発明者と奨励及び報酬を約定できるか?

2025. 3. 31

会社は職務発明創造の発明者と奨励及び報酬を約定できるか?

Q:会社は職務発明創造の発明者と奨励及び報酬を約定することができるか?

   A:「中華人民共和国特許法(2020改正)」第15条は、「特許権を授与された会社は、職務発明創造の発明者または設計者に奨励を与えなければならない。発明創造特許が実施された後、その普及応用の範囲と取得した経済効果に基づいて、発明者または設計者に合理的な報酬を与える。国家は、特許権を授与された会社が財産権インセンティブを実行し、株式、オプション、配当などの方式を採用して、発明者または設計者に創新収益を合理的に共有させることを奨励する。」と規定している。

   「中華人民共和国特許法実施細則(2023改正)」第九十二条は、「特許権を授与された会社は、発明者または設計者と約定するか、或いは法に基づいて制定された規則制度の中で特許法第十五条に規定された奨励、報酬の方式と金額を規定することができる。特許権を授与された会社が財産権インセンティブを実行し、株式、オプション、配当などの方式を採用して、発明者または設計者に創新収益を合理的に共有させることを奨励する。」と規定している。

   「中華人民共和国科学技術成果転化促進法(2015改正)」第44条は、「職務科学技術成果転化後、科学技術成果の完成会社は当該科学技術成果の完成と転化に重要な貢献をした人員に奨励と報酬を与える。科学技術成果の完成会社は科学技術人員と奨励と報酬の方式、金額、期限を規定するか、或いは約定することができる。会社は関連規定を制定し、当該会社の科学技術人員の意見を十分に聴取し、且つ会社内部で関連規定を公開しなければならない」と規定している。

   上記の法律規定に基づき、中国は職務発明創造発明者の奨励と報酬に対して「約定優先原則」を実行し、会社は職務発明創造の発明者と奨励と報酬の方式、金額を約定することができ、更に会社の規則制度に規定することができ、約定または制度に規定された基準は法定最低基準より高くてもよく、法定最低基準より低くてもよい。制度規定の形式を採用する場合、制度制定時には従業員との討論、協議を履行し、制度公示などの民主手続を終え、制定された制度が合法的且つコンプライアンス上有効であることを確保する必要がある。提示しなければならないのは、会社が実際に従業員に与えた職務発明奨励金と報酬が極めて低く、合理性に欠けていることで、紛争が発生した場合、裁判所に会社の基準が低すぎると判定され、引上げさせる可能性がある。

   もし会社が発明者と約定しておらず、法に基づいて制定された会社規則制度の中にも、規定された奨励の方式及び金額も規定していない場合、「中華人民共和国特許法実施細則」と「中華人民共和国科学技術成果転化促進法」に規定された法定基準に従って、発明者に奨励と報酬を支払わなければならない。具体的な基準は次のとおりである。

   特許権を授与された会社が発明者、設計者との約定もなく、法に基づいて制定された会社規則制度の中にも特許法第十五条に規定された奨励の方式及び金額を規定していない場合、特許権授与を公告した日から3ヶ月以内に発明者または設計者に奨励金を支給しなければならない。一件の発明特許の奨励金は最低でも4000元を下回ってはならず、実用新型特許または外観設計特許の奨励金は最低でも1500元を下回ってはならない。

   科学技術成果完成会社が規定しておらず、科学技術者と奨励と報酬の方式、金額を約定していない場合、以下の基準に従って職務科学技術成果の完成と転化に重要な貢献をした者に奨励と報酬を与える:
  • 当該職務科学技術成果を他人に譲渡、許可を実施した場合、当該科学技術成果の譲渡による純収入または許可による純収入から50%以上の割合を抽出しなければならない。
  • 当該職務科学技術成果を利用して価値評価の上投資した場合、当該科学技術成果により形成された株式又は出資比率から50%以上の割合を抽出しなければならない。
  • 当該職務科学技術成果を自己実施又は他人と合作して実施した場合、転化が成功で生産実施後の3〜5年間で連続して、毎年当該科学技術成果の実施による営業利益から最低でも5%以上の割合を抽出しなければならない。
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