医薬品卸売企業は「自営倉庫」を持つべきか?
2024. 2. 2
医薬品卸売企業は「自営倉庫」を持つべきか?

Q:医薬品卸売企業は「自営倉庫」を持つべきか?
A:国家市場監督管理総局が2023年9月27日に公布した「医薬品経営及び使用品質監督管理弁法」(国家市場監督管理総局令第84号、2024年1月1日より実施、以下「弁法」という)第8条第1項第(三)号によると、医薬品の卸売に従事する場合は、その経営対象品目と規模に適応した自営倉庫を持つべきであると規定している。
では、「自営倉庫」とは何を指すのか。「弁法」では明確な規定は示されていないが、国家医薬品監督管理局(NMPA)が2023年10月20日に発表した「医薬品現代物流規範化建設の指導意見(意見募集稿)」(以下「意見募集稿」という)第27条を参考すると、「自営倉庫」とは企業が自営管理し、自己の経営と委託者の医薬品のために貯蔵サービスを提供する倉庫を指す。この定義からすれば、自己所有または賃貸の倉庫であってもよいが、「自己経営」及び「自己管理」という基本的な要件を満たさなければならないと理解することができる。しかし実際、既存の多くの医薬品卸売企業は第三者の医薬品物流企業に完全に委託する形で医薬品の貯蔵を行っており、自身では自営倉庫を持っておらず、また医薬品経営許可証にも第三者の物流倉庫を倉庫とすると明記している。それならば、「弁法」が実施された後には、これらの卸売企業も自営倉庫の要件を満たすべきなのだろうか、また、医薬品経営許可証も再申請しなければならないのだろうか。
この問題についても、「弁法」は明確な答えを示していない。「意見募集稿」第2条(適用範囲)を参考すれば、自営倉庫などの現代化物流施設設備を備える要求は「新たに設立された」医薬品卸売企業にのみ適用されるとしており、すでに設立された医薬品卸売企業は医薬品の現代化物流を徐々に実現するよう奨励するとしている。また、我々の実務上の認識では、現在各地の医薬品監督管理部門は、既存の第三者物流に貯蔵を委託している医薬品卸売企業に対して自営倉庫を備えるような強制はしていない。
以上を総括すると、新たに設立される医薬品卸売企業は、「弁法」の要求に従い、自営倉庫を備えなければならない。これに対し、「弁法」実施前にすでに成立した、自営倉庫の条件を備えていない卸売企業としては、現時点ではなお完全に第三者医薬品物流企業に委託する形で医薬品の貯蔵管理を行うことができるが、「医薬品現代物流規範化建設の指導意見」など関連文書の正式発表や実際の監督管理動向に注視しながら、適時に自営倉庫に切り替えることができるようあらかじめ計画を用意しておくことがよいだろう。