職業禁忌症のある従業員に会社はどう対処すべきか?
2024. 1. 8
職業禁忌症のある従業員に会社はどう対処すべきか?

Q:職業禁忌症のある従業員に会社はどう対処すべきか?
A:結論として、該当者をもとの職務から異動または一時的に離脱させ、適切に配置しなければならない。
「中華人民共和国職業病予防治療法」(以下、「職業病予防治療法」)第85条第2項によると、職業上の禁忌症とは、労働者が特定の職業に従事したり、特定の職業病の危害因子に接触したりした場合、一般よりも職業病の危害を受けたり、職業病にかかりやすく、もしくは持病の病状が重くなる可能性があり、または作業する過程で生命や健康に危険をもたらす可能性のある疾病を誘発する特殊な生理または病理状態を指す。
この説明から、職業上の禁忌症は職業病と異なり、個人の特殊な状態であることが分かる。また、職業病によって対応する職業禁忌も異なる。例えば、有毒有害作業において、妊娠という特殊な生理状態は職業上の禁忌症に該当する。他によく見られる職業上の禁忌症として、粉塵作業における肺機能障害を伴う疾病、騒音環境における心臓病や聴力損失症の患者などが挙げられる。
職業上の禁忌症がある従業員に対して、「職業病予防治療法」第35条第2項は次の通り規定している。
雇用者は勤務前の職業健康検査を受けていない労働者を職業病の危害に触れる作業に従事させてはならない。職業上の禁忌症がある労働者をその禁忌の作業に従事させてはならない。従事する職業に関連する健康問題が職業健康検査で認められた労働者に対しては、もとの職務から適切な職務に配置転換しなければならない。職場を異動する前に職業健康検査を行っていない労働者に対して労働契約を解除または終了してはならない。
「雇用者による職業健康監護監督管理弁法」(以下、「管理弁法」)第17条第1項は次の通り規定している。
雇用者は職業健康検査報告に基づいて、(一)職業上の禁忌症のある労働者に対し、もとの職務から配置転換または一時的に離脱させる、……という措置を取らなければならない。
これらの関連規定によると、職業上の禁忌症がある従業員に対して、雇用者には異動と適切な配置を手配する義務がある。
もし会社が適時に適切な配置転換を実施しなかった場合、従業員の状況が悪化すれば、行政処罰などの法的リスクに直面する可能性があり、さらには後続の労働紛争で受動的な状態に置かれ、より多くの責任を負う可能性がある。
関連する法的根拠は次の通りである。
「職業病予防治療法」第75条第7項:
「本法の規定に違反し、以下のいずれかの状況に該当する場合、衛生行政部門は、期限付きの是正を命じ、5万元以上30万元以下の過料を科す。情状が深刻な場合、職業病危害を発生させる作業の停止を命じ、または関係する人民政府に対して国務院が規定する権限に従って閉鎖を命じるよう具申する。……(7)職業健康検査を受けていない労働者、職業上の禁忌症がある労働者、未成年労働者または妊娠期、授乳期の女性従業員を職業病危害に接触する作業または禁忌作業に従事させるように手配した場合。」
「管理弁法」第26条第5項:
「雇用者が以下のいずれかの状況に該当する場合、警告を与え、期限付きで是正を命じ、3万元以下の過料を併科することができる。……(5)職業健康検査の状況に基づいて相応の措置を取らなかった場合、……。」
以上のことから、従業員に職業上の禁忌症があることを発見した場合、従業員の健康を保護し、リスクを低減させるために、できるだけ早急に相応の配置転換を手配するよう提言する。