上海│全国初の仲裁機構申請による調査命令
2023. 12. 17
上海│全国初の仲裁機構申請による調査命令

訴訟事件において、当事者が自ら証拠を収集することが困難である場合、法院又は仲裁機構に調査・証拠収集への協力を申請する手法をとることがある。商事仲裁事件においては、当事者は仲裁機構が発行した書簡を持って調査・証拠収集を行うことができることになっている。しかし、仲裁機構が発行した書簡には強制的な効力がないため、協力が得られず、期待する証拠収集効果が得られないことがよくある。このほど、上海市閔行法院は、全国で初めて仲裁機構の申請に基づいて調査命令を発行する案件を処理した。
今回、上海仲裁委員会が受理した案件は、工業用スペースの売買契約に関わる紛争で、係争の対象物に契約の継続履行の可否に直接かかわる抵当や賃貸等の事実状況が存在する可能性があるため、調査・証拠収集を行う必要があった。仲裁廷は審査後、収集する必要が確かにあると認めたが、自ら証拠を収集するには困難があると判断し、事実をより良く明らかにするため、閔行区人民法院に協力申請を提出した。閔行法院では、審査した後に法により仲裁機構に調査命令を発行し、電子的に送達した。これにより、上海仲裁委員会の職員は閔行法院が発行した調査命令を所持して閔行区自然資源権登記センターに行き、事件にかかわる不動産登記簿の情報を順調に調査できた。
紛争解決方式の一つとして、商事仲裁が多くの企業に歓迎されつつある。今回の上海閔行法院が仲裁申請に基づいて調査命令を発行した事例は、企業が仲裁の過程において調査・証拠収集制度を活用し、自社の合法的な権益を保護するうえで、非常に参考となる重要な意義を持っている。
原文リンク:
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