契約を随意に解除してはならないと約定できるか?
2023. 11. 14
契約を随意に解除してはならないと約定できるか?

Q:契約において任意解約権を適用できないように約定できるか?
A:この問題は実際に争点となっている。このような約定が有効か否かは、契約の種類や契約の目的などを踏まえて総合的に判断する必要があると考える。
任意解約権とは、契約において相手方の違約を前提とせずに、一方的に解約を申し出ることができる権利を指す。例えば、請負契約における発注者、委託契約における委託者と受託者などは、いつでも契約を解除する権利を有している。任意解除権は法律で定められた権利であるものの、実務においては、任意解約権が行使されると取引における将来的な不確定リスクとなると考え、事前に受注契約や委託契約などの契約条項において「双方の当事者は正当な理由なく勝手に契約を解除してはならない」と約定することがあり、すなわち、任意解約権の行使を排除しているケースが見受けられる。
請負契約を例にすると、代表的な見解としては、最高人民法院が「民法典契約編の理解と適用(三)」の中で言及した以下の観点がある。
「契約法における権利付与性の規範はすべて強制性規範に分類されるべきであり、任意解約権の規定は法律の強制性規範であり、約定によって変更することはできない。さらに、先に述べたように、発注者が任意解約権を享受する正当性は、請負契約の性質に基づくものであって、有償であるか否かに基づくものではなく、特別法において発注者の任意解約権が制限されていない限り、発注者の任意解約権を約定によって放棄させることができると考えるべきではない」
しかしながら委任契約については、司法の実務においてより大きな争議を生んでいる。例えば、「(2020)豫1402民初5198号」「(2019)豫1402民初3300号」等の事例において、法院は、「委託契約の当事者双方が、協議書を締結する際に任意解約権の適用を制限または排除する旨を約定する場合、まず当事者の意思を尊重した約定であれば、当該約定は有効であると認定すべきであり、当事者は約定に従って契約を履行すべきであり、自由に委託を取り消すことも契約を解除することもできず、さもなければ信義則に反することになる」と認定し、任意解約権を排除する観点を容認した。一方、「(2022)滬0117民初6846号」事件において、法院は、「任意解約権は法律が契約当事者に付与した法定権利であり、当事者の約定によって適用を除外するものではない。ここでいう『解約する権利なし』は当事者の任意解約権を制限するものとみなすべきである」と認定し、任意解約権を排除する約定を否定した。
上記で示した受注契約や委託契約以外にも、日常的に任意解約権を有する契約関係には、不定期リース、貨物輸送、保険などがあげられる。任意解約権を排除することには、実務上の議論が存在するため、当事者となる際には、具体的な状況(契約の性質など)に応じて慎重に選択するか、または任意解約による不確実性のリスクを軽減する他の柔軟な方法(損害賠償など)を採用することをお勧めする。