買主が違約する場合、売主は貨物を引き戻せるか?
2023. 9. 7
買主が違約する場合、売主は貨物を引き戻せるか?

Q:買主が売買契約に違反した時に、売主は直接に貨物を引き戻せるか?
A:売主は所有権の保留を約定することでこの目的を実現できる。
貨物は動産であるため、一般的に貨物の引き渡しは所有権の移転を意味する。質問の状況では、売主が買主に対して一種の債権を有していると言える。もしも買主が契約に違反した場合には(例えば、期日通りに代金を支払わないなど)、売主は買主に引き続き契約を履行するよう要求でき、違約責任を負わせることができるが、引き渡した貨物を直接に取り戻すことはできない。しかし、双方が売買契約を締結した当初に所有権の保留を約定していれば、売主は貨物に対して取り戻す権利を行使することができる。
「民法典」第641条第1項の規定によれば、当事者は売買契約の中で買主が代金の支払いまたはその他の義務を履行していない場合には、目的物の所有権は売主に属すると約束することができる。また、「民法典」第642条の規定によれば、当事者間で売主が契約した目的物の所有権を保留すると約束している場合に、買主が約定通りに代金を支払わず、督促後も合理的な期限内に支払わない場合、または、買主が約定通りに特定の条件を完成しない場合、または、目的物を売却、質入れ、あるいは不当に処分した場合には、売主には目的物を取り戻す権利があると規定している。
ここで注意が必要な点は、「民法典」では同時に、売主及び第三者の利益を保護するために、所有権保留の「登記対抗」条項についても規定している。すなわち、登録されていない場合に所有権の保留は、善意の第三者には対抗できない。従って、当所のクライアント企業においては、売主として所有権を保留する方法を選択した場合には、同時に登録も行っておくよう留意いただきたい。
また、実践においては、取り戻す条件を満たす場合に売主はまず買主と協議することができる。もしも、買主が貨物の返品を拒否した場合には、売主は「民事訴訟法」の担保物権の実現に関する特別手続を参照して貨物の引き取りを実現することができる。