上海 | 早期終審する少額訴訟の基準を調整
2023. 9. 4
上海 | 早期終審する少額訴訟の基準を調整

上海市高級人民法院はこのほど、「少額訴訟手続を適用する民事事件審理の基準限度額に関する通知」を公布した。「少額訴訟手続」基準の限度額は各省、自治区、直轄市の前年度就業者の年平均賃金の一定の割合に基づいて確定されており、前年度の年平均賃金の調整にともない、「少額訴訟手続」の基準額も調整される。ここでは、「少額訴訟手続」について改めて確認しておきたい。なお、上海市の2022年度の就業者年平均賃金は146,199元。
【根拠法】
「民事訴訟法」第165条
基層人民法院及びその出先法廷は、事実が明瞭で、権利義務関係が明確で、争議が大きくない単純な金銭給付の民事事件の審理において、目標金額が各省、自治区、直轄市の前年度就業者の年平均賃金の50%以下である場合には、少額訴訟の手続を適用して審理し、「一審終審」を実行する。
基層人民法院及びその出先法廷による前項で規定する民事事件の審理において、目標金額が各省、自治区、直轄市の前年度就業者の年平均賃金の50%を超えているが2倍以下である場合に、当事者双方は少額訴訟の適用手続を約定することもできる。
ここで注意すべきことは、この基準の調整は労働紛争案件にも適用されるということである。
すなわち、関連法令により労働紛争案件は一般的に「一裁二審」(仲裁プラス二審の訴訟)の紛争解決手続に準じるとしても、「少額訴訟手続」の適用条件を満たす場合には「一裁一審」となる。
【事例】
例えば、原告(労働者)が被告(使用者)に対して原告が提供した保証金5,000元の返還を要求した訴訟([2023]滬0116民初6856号案件)において、裁判所は審理の結果、判決と同時に「本判決が終審判決である」ことを明示した。
また、原告(労働者)が被告(使用者)に対して、解雇による経済補償金3,000元と退職手続きの遅延による経済損失4,000元を要求した訴訟((2020)滬0101民初8947号案件)では、裁判所は審理の結果、原告の請求を棄却すると同時に「本判決が終審判決である」と明示した。
原文リンク: