高齢者対応の医薬品説明書テスト方案のパブコメ募集
2023. 7. 7
高齢者対応の医薬品説明書テスト方案のパブコメ募集

高齢化対応改革の一環として、国家医薬品監督管理局(NMPA)は医薬品に添付される説明書(添付文書)をわかり易く統一するためのパブリックコメントを募集している。今回、NMPAが発表したのは「医薬品説明書の高齢化適応改革試行方案(意見募集稿)」(以下「方案」という)及び「医薬品説明書(簡略版)作成ガイドライン(意見募集稿)」「電子版医薬品説明書(完全版)様式要求(意見募集稿)」で、書式、字体、文字の大きさなどを具体的に定めたガイドラインに則った運用テストを上海等の一部地域で実施し、これにより、医薬品に添付される文書の管理を最適化し、「はっきり見えない」などの問題を解決し、様々な患者が使用しやすくすることを目指している。方案は、6月29日に発表され、7月28日までパブリックコメントを募集している。
「方案」による今回の改革試行の範囲と主な表記要求には次の数点が含まれる。
- パイロットテストの実施地域:上海、江蘇、浙江、山東、湖南、広東省(市)。
- パイロットテストの対象医薬品:高齢患者が常用する一部の経口、外用医薬品製剤。
- パイロットテスト実施企業:主に省級医薬品監督管理部門によって組織し、医薬品上市許可保有者(MAH)による自発的な申請を原則とする。海外のMAHの場合は、国家医薬品審査センター(CDE)に届出を申請して実施する。
- 医薬品の説明書(簡略版)は、明晰かつ識別しやすく、高齢患者が医薬品を使用するうえで便利であること。電子版の医薬品説明書(完全版)の内容は正確で、監督管理部門が承認した最新版の医薬品説明書の内容と一致していなければならない。簡略版の一般様式、および電子版の作成要求については、それぞれ2つのガイドラインを参照できる。
特筆したい点は、中国政府が同日発表した「中華人民共和国バリアフリー環境建設法」が今年9月1日から施行されることだ。同法第37条では、「国務院の関係部門は医薬品のラベル、説明書の管理規範を整備し、医薬品生産経営者に対して、音声、大文字、点字、電子版などのバリアフリー様式のラベル、添付文書を提供するように要求すべきである」と定めている。NMPAとしてもこの条項の呼びかけに応じて、直ちに医薬品の説明書を改革する3つの意見募集稿を発表したことになる。
今回の改革試行は説明書の高齢化対応(簡略版と電子版)に限られているが、「方案」では更に、MAHが医薬品説明書の音声放送、点字サービスを提供し、障害者など特殊な人々が安全に医薬品を使用できるための需要を満たすことを奨励している。今回の試行方案の実施に伴い、高齢化適応とバリアフリー化への要求はすべての医薬品の説明文書等に普及されるはずである。各MAHは、医薬品の説明文書等の改革について引き続き注視し、相応の準備をしておくべきだろう。
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