企業名称の重複は違法か?

2023. 7. 4

企業名称の重複は違法か?

Q:企業名称の重複は違法か?

   A:日系企業は高いブランド力と顧客からの評価により中国市場で注目され、その商号にも高い商業価値を有している。関連して先日、次のような質問を受けた。

   「(中国内で)当社と同じ商号を使っている他の地方企業があるが、こうした行為は違法ではないか?」。

   はじめに法律的解釈から言えば、企業名称の重複は違法ではない。

   「企業名称登記管理規定」及び「企業名称登記管理実施弁法」により、中国では企業名称の登記には、分級登記制度を採用し、登記機関の管轄地域別に管理している。即ち、登記機関は企業の名称を審査する際に、当該地域内で重複もしくは類似する企業名称があるかのみを確認している。従って、同じ企業の商号が同時に上海と北京で登録される可能性もあり、このことは法律に違反していない。

   それでは、他社による自社商号の使用を制止できないことはやむを得ないのだろうか?

   その答えはもちろんNOである。

   第一に、異なる地に所在する他の企業は同じ商号を使用できるが、「不正競争防止法」第6条の規定に違反してはならない。すなわち、「経営者は以下の混同競争行為を行うことはできず、他人の商品との誤認又は他人との特定の関連性があるとの誤認をもたらしてはならない。…(二)他人が有する一定の影響力のある企業名称(略称、商号等を含む)を無断で使用してはならない」。 

   上述の混同行為を行った経営者に対して、監査部門はその職責により当該違法行為を停止させ、違法商品を没収し、罰金を科すこともできる。情状が厳重な場合には、さらに、営業許可証を取消すこともできる。

   従って、企業が異なる地域で同じ商号を使うこと自体は法律に禁止されていないが、同じ商号を使う目的が他人の企業ブランドを盗用し、偽造品を生産・販売するものである場合には違法行為となる。

   第二に、ブランドを有する企業は「商標法」の関連規定に従って商標登録を行うことで、より強く自社の商号を守ることができる。例えば、ブランド企業が主に経営している商品やサービス分類において企業の商号と同じ商標を登録しておけば、他社が同一又は類似する商号を企業名称として登記していたとしても、既に商標登録された商品又はサービス分類において、他社による商号の顕著な表現を商標権への侵害行為として制止できる(当該商号の突出した表示は商標の使用に該当する)。他の企業がブランド企業と同一又は類似する商号を使っていても、ブランド企業が商号を商標登録していればその使用には極めて大きな制限を受け、商号は登録商標として更に保護される。
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