科学技術部が「ヒト遺伝資源管理条例実施細則」を発表
2023. 6. 9
科学技術部が「ヒト遺伝資源管理条例実施細則」を発表

2023年6月1日、科学技術部は「ヒト遺伝資源管理条例実施細則」(中文:《人类遗传资源管理条例实施细则》。以下「細則」という)を発表した。2023年7月1日より施行する。2022年3月22日に科学技術部より発表された「ヒト遺伝資源管理条例実施細則(意見募集稿)」と比べると、本正式稿には大きな変化は見られないが、現在の中国のヒト遺伝資源の管理体制を鑑みると、「細則」では次のようなポイントが特に注目に値する。
1.「ヒト遺伝資源情報」定義の詳細化
「細則」第2条によると、ヒト遺伝資源情報にはヒト遺伝資源材料を利用して生じたヒト遺伝子、ゲノムデータなどの情報資料を含むが、臨床データ、画像データ、タンパク質データと代謝データは含まない。「ヒト遺伝資源管理条例」(以下「条例」という)と比較してみると、当該規定によって、ヒト遺伝資源情報の規制範囲がより明確になった。
2.「外国側」(中文:外方单位)認定基準の明確化
「条例」によると、外国側が中国でのヒト遺伝資源の利用活動においては多くの監督管理制限を受ける(ヒト遺伝資源の採集・保管をしてはならず、ヒト遺伝資源を利用して研究を行うには中国側と提携し、かつ審査や届出手続を行う必要があるなど)。
「細則」は、「条例」で定める「外国側」についての定義(外国組織、及び外国組織・個人が設立し、または実際にコントロールする機構)をもとに、その対象範囲を「国外の組織・個人が投資関係・協議又はその他の手配を通じて、機構の決定、管理などの行為について支配をし、又は重大な影響を与えうる」機構まで拡大した。つまり、VIE(変動持分事業体)枠組における内資系会社も外国側として認定される。
3. 情報の対外提供要求(事前報告制度、安全審査)の完備
「条例」の関連規定によれば、ヒト遺伝資源情報を外国組織、個人及びそれらが設立し、又は実際にコントロールする機構に提供し、又は開放して使用する場合には、科学技術部に届出を行い、かつ情報のバックアップを提供しなければならず、また中国大衆の健康、国家安全と社会公共利益に影響を与えるおそれのある情報については、さらに安全審査を経なければならない。
「細則」は、届出制度を事前報告制度に変更したうえ、安全審査の適用状況を、重要遺伝家系のヒト遺伝資源情報、特定地区のヒト遺伝資源情報、人数が500例を超えるエクソームシーケンス・ゲノムシーケンスの情報資源と明確にした。データの越境移転などデータ取扱についての監督管理が益々改善され、強化されているなか、「細則」の上記規定はヒト遺伝資源情報の対外提供実務について、非常に重要な参考意味がある。
上記のポイントのほか、「細則」では、監督管理権限の委譲、採集範囲、保管の定義と監督管理、国際届出の要求などの面についても明確化、詳細化している。申請手順などの「細則」の詳細や本件に関する問い合わせは当所までご連絡ください。