事業者結合の申告要求について

2023. 5. 29

事業者結合の申告要求について

Q:どんな株式譲渡または企業合併には事業者結合の申告が必要か?

   A:企業が株式譲渡を行う際には、株式の購入または売却のいずれであっても、独占禁止法上の事業者結合(経営者集中)の申告に当てはまる可能性がある。「独占禁止法」第25条では「事業者結合」について、(1)事業者の合併、(2)事業者が持分又は資産を取得する方式を通じて他の事業者に対する支配権を取得すること、(3)事業者が契約等の方式を通じて、他の事業者に対する支配権を取得するか、又は他の事業者に対して決定的な影響を与えることが可能となること、と規定している。ここから一つの疑問が生じる。すべての企業合併、株式譲渡において事業者結合を申告しなければならないのだろうか?

   まず、事業者結合を申告する目的を明確にしておきたい。その目的は、企業による間接的なコントロールまたは株式の移転を通じて、特定の事業体が高すぎる市場統制力をもち、その市場の集中により、市場参入、技術革新、消費者・その他の関連経営者、国民経済の発展に不利な影響を与えること(即ち、独占行為を構成すること)を回避することを目的としている。従って、例えば企業内部の再編は、たとえ動かす企業資本金がいかに大きくても事業者結合には該当しない(但し、一部の持株を支配する場合は除く)。

   「国務院による事業者結合の申告基準についての規定」及び「事業者結合申告についての指導意見」によれば、事業者は、以下の条件を満たして合併、株式譲渡を行う場合には申告しなければならないとしている。
  • 結合に参加する全ての事業者の前会計年度における全世界の売上高が合計100億人民元を超え、かつ、そのうちの少なくとも2事業者の前会計年度における中国境内の売上高がいずれも4億人民元を超える場合。
  • 結合に参加する全ての事業者の前会計年度における中国境内の売上高が合計20億人民元を超え、かつ、そのうちの少なくとも2事業者の前会計年度における中国境内の売上高がいずれも4億人民元を超える場合。

   但し、これらの事業者結合の申告基準は固定した不変のものではない。たとえ企業が基準を満たしていなくても(例えば売上高が4億元未満)、受動的に事業者結合の申告審査を提起させられないとは限らない。依然として関連行為が市場に与える影響度合いに依拠する。「独占禁止法」第26条第2項では、事業者結合が申告基準に至らない場合であっても、競争を制限または排除する効果がある、またはその恐れがあるという証拠がある場合には、市場監督管理総局は事業者に対して書面でその申告を求めることができると規定している。2023年に新たに公布された「経営者集中審査規定」第8条では、この要求を更に細分化して、結合を未だ実施していない場合には、事業者は申告以前または申告後許可前に結合を実施してはならないとし、結合が既に実施している場合には、事業者は書面通知の受領後120日以内に申告し、かつ結合の実施の中断などの必要な措置を講じて、結合による競争への不利な影響を減少させなければならないと規定した。

   企業がこうした株式の譲渡を行う場合には、早い段階で弁護士に連絡し、事業者結合のリスクをできるだけ抑えることをお勧めします。さもなければ、結合の過程で、または結合後に、事業者結合の申告要請が出され、少なくとも株式譲渡の計画に影響を与えて項目全体の進捗を遅らせることになりますし、場合によっては、株式譲渡、合併が失敗してビジネス上のリスクとともに相応の行政処罰責任を課されるリスクがあります。
クライアント
専用ログイン

ユーザーIDとパスワードを入力してください。 ご質問がございましたら、弊所の顧客担当にご連絡くださいますようお願い致します。