試用期間中に企業が従業員を解雇する場合の注意点は?
2023. 5. 8
試用期間中に企業が従業員を解雇する場合の注意点は?

Q: 試用期間中に企業が従業員を解雇する場合の注意点は?
A:試用期間とは、使用者が新たに採用した従業員に対して思想道徳、労働態度、実務能力、健康状態などをさらに考察する期間であり、使用者と労働者の間で相互理解と相互選択するために合意した考察期間である。実務上では、多くの使用者が、試用期間内はいつでも労働契約を解除でき、経済補償金を支払う必要がないと考えているケースが見受けられる。しかし、この見解は不謹慎であり、法的リスクを伴う可能性があると指摘しておかなければならない。では、試用期間内に従業員を解雇する場合に、企業はなにに注意する必要があるのだろうか?実務において使用者が以下の点に着目されることを提案する。
1、合法的に有効な試用期間
「労働契約法」第 19条によると、合法的に有効な試用期間は以下の通りである。
- 労働契約期間が3ヶ月以上1年未満の場合に試用期間は1ヶ月を超えてはならない、労働契約期間が1年以上3年未満の場合に試用期間は2ヶ月を超えてはならない、3年以上の固定期間と固定期間のない労働契約での試用期間は6ヶ月を超えてはならない。
- 同一使用者と同一労働者は試用期間を1回しか約定できない。
- 特定の業務達成を期限とする労働契約、または労働契約期間が3ヶ月未満の場合には、試用期間を定めてはならない。
したがって、企業と従業員が法的に制限される期間を超える試用期間を約束している場合には、超過する部分は無効となる。有効な試用期間が約束されていたとしても、企業は試用期間内に従業員を解雇するよう注意しなければならず、試用期間終了後に慌てて従業員を考察したり、期限を過ぎてから解雇を決定することは避けるべきである。
2、明確な採用条件
「労働契約法」第39条によると、試用期間中に採用条件を満たさないことが証明された場合、使用者は労働契約を解除することができる。すなわち、従業員が採用条件を満たしていないことを証明することによってのみ、企業は従業員を解雇できる。したがって、あらかじめ明確な採用条件が必要である。採用条件の設定については、法律で明確な規定はない。明確な採用条件を使用者が定めずに労働者との争議が発生した場合には、労働法は労働者の権益保護に重点を置くため、使用者は挙証責任を負う必要があり、不利な立場になる。そのため、使用者は採用条件をできるだけ明確に約定しておくべきである。一般的には、勤務する職場での責任、業務能力、労働規律、職責の達成率、業績目標の達成率、入社に関する個人情報または提出資料の真実性や完備性などの視点から考えることができる。試用期間中の採用条件は、合法的、合理的かつ実行可能な内容を書面で明確に設定し、差別的または違法な内容を避け、かつ、従業員が署名して確認することを提案する。
3、考査と通知
明確な採用条件が約定されているうえで、従業員が採用条件を満たしていないことを証明する必要がある。さらに、試用期間中の考査手順が必要であり、考査内容、考査基準、考査方式を使用者が決定し、定量的かつ定性的な考査基準を採用して労働者を考査することができる。定量考査では、出勤率、業績目標など数値化できる内容を考査する。定性考査では、協調性やコミュニケーション能力、チームワーク能力、職場での職責などの非定量的な内容を評価する。試用期間中に、明確な考査記録を作成して、考査評価結果の透明性、客観性を高めるようにする。また、速やかに従業員と考査状況を共有しておくことを提案する。
4、通知手続き
「労働契約法」第21条によると、使用者は試用期間中に労働契約を解除する際に労働者に理由を説明する必要がある。第43条では、使用者が一方的に労働契約を解除する場合にはその理由を事前に労働組合に通知すべきと規定している。使用者が法律、行政法規の規定または労働契約の合意に違反している場合には、労働組合は使用者に是正を要求する権利を有する。使用者は、労働組合の意見を検討し、その結果を書面で労働組合に通知しなければならない。試用期間中の解雇も、労働契約の一方的な解除に該当し、これを順守する必要がある。
また、「労働契約法」第37条では、試用期間中に従業員は3日前に退職することを使用者に通知する必要があるとだけ規定している。使用者がどのくらい前に解雇を労働者に知らせるかについては詳細な規定はなく、いつでも通知できると一般的に考えられる。ただし、試用期間の終了間際に従業員に解雇を突然通知することは避けて、従業員の抵抗感を和らげ、労働争議に発展するリスクを減らすことを提案する。