権利侵害リスクに巻き込まれた時の対応策
2023. 3. 22
権利侵害リスクに巻き込まれた時の対応策

企業活動のグローバル化が進む中、日系企業が中国で特許侵害に遭遇するケースが増えつつあります。特に中国では、実用新案出願は方式審査のみを経て、拒絶すべき理由がない場合、特許権利が付与されることになります。方式審査には新規性、進歩性、実用性の実体審査が行われませんので、特許登録を受けたといっても、実際に登録要件を満たしていない実用新案が珍しくありません。
コンプライアンスを重視する日系企業では、実施予定の技術がすでに特許登録済みと発見した際に、リスクを最小限に抑える観点から、特許権侵害を回避するために、技術手段を変更したり、ひいては業務実施を停止したりすることが少なくありません。
まず、すでに登録されている実用新案の新規性及び創造性、実用性を備えているかどうかを判断した上、特許無効宣告制度を活用し、冷静に対応することをお勧めいたします。
最近、弊所は、上記のような特許侵害リスクに巻き込まれた日系企業からの質問を受けました。弊所の知的財産チームの専門弁護士は、当該特許権を獲得している実用新案を分析した結果、新規性が欠如していると判断し、総合的な対応策を作成いたしました。
新規性の判断基準については、「特許審査ガイドライン」により、既存技術に該当するかどうかによります。既存技術の公開方法は、出版物による公開、使用による公開及び他の方法による公開に分けられ、いずれの方法にも地域、国別の制限はないことを配慮し、弊所弁護士は技術方面の専門家と連携し、中国だけでなく、グローバルにおいて公開された関連技術文献を収集し、国家知的財産権局に提出しました。詳細な書面説明及び口頭審判を経て、当方の請求が国家知的財産権局に全て認められ、対象特許が無効となり、業務実施に当たる障害を克服することに成功しました。

