知財保護へ司法と行政が連携強化

2023. 2. 28

知財保護へ司法と行政が連携強化

   このほど、中国最高人民法院と国家知的財産権局は「知的財産権への協同保護を強化することに関する意見」(以下、「意見」という)を発表した。「意見」では、司法と行政の職責と管轄を明確にし、情報交流等を通じて、協同メカニズムを最適化し、協同保護を強化するための各措置を提示し、知的財産権の「厳格、大規模、迅速、同等な保護」を達成するための枠組みの構築を推進するよう各省・市・自治区の関連部門へ要求している。

   「意見」では、双方の連携の常態化と業務協力を強化し、科学技術のレベルを高め、知的財産権の市場化、法治化、国際化によるビジネス環境を創出するための13項目の具体的な措置を提示している。連携を常態化するメカニズムの構築としては、日常連絡者と責任者の設定、交流会議の定期開催、情報共有の強化の3項目をあげ、業務協力を強化する9項目として、上記3項目による連携強化を通じて、共同保護に関する法律・政策の整備、基準の統一、長江デルタなどの地域内及び各行政レベルでの協力体制の構築、国際規則と基準の共同研究と制定、中国及び発展途上国の知財保護能力の向上、中国企業の海外進出をサポートする国際的に一流のビジネス環境の創出、人材交流等々を推進するなどの措置を提示している。

   今回の「意見」の注目ポイントの一つとしては、知的財産権の行政保護と司法保護の健全な接続メカニズムを示し、行政基準と司法基準の統一を促している点である。例えば、これまでには、商標案件について、類似商標の判定において、国家知的財産権局と知的財産権裁判所が類似基準に対する認識が一定程度一致していなかったことがあるために、同一案件に対して異なる判決を下した例がある。今回の「意見」により、司法と行政間のコミュニケーションが強化されることで、このような問題が大幅に減少すると期待できる。


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