外資医薬品企業は医薬品をオンラインで販売できるか?

2022. 10. 21

外資医薬品企業は医薬品をオンラインで販売できるか?

Q: 外資医薬品企業は医薬品をオンラインで販売できるか?

   A:2022年8月3日に国家市場監督管理総局が公布した「薬品ネット販売監督管理弁法」(総局令第58号、以下「弁法」という)は、2022年12月1日より施行される。「弁法」の関連規定によれば、医薬品のオンライン販売を行う企業の資格はオフライン販売の資格と同じである。即ち医薬品上市許可保有者(以下「MAH」という)又は医薬品経営企業、若しくはMAH関連義務を履行する中薬飲片(漢方薬「煎じ薬」)の製造企業でなければならない。

   したがって、外資医薬品企業が中国国内における医薬品経営企業(卸・小売)、又は中国国産の医薬品承認(上市許可)を取得したMAHであれば、他の中国現地医薬品経営企業・MAHと同様、医薬品のオンラインでの販売資格を取得済みであれば、「弁法」の関連規定にしたがってオンライン販売の各要件を満たせば足りる。しかし問題は、生産資格(薬品生産許可証)のみを具備する分包装企業、海外MAHの場合も、医薬品のオンライン販売を行うことができるか否かである。

   その中で、生産資格のみ持つ分包装企業に対しては、実務上MAHに類似して管理されている(分包装後製品の上市許可又は薬品経営許可証を有しないが、自ら分包装後の製品を販売できる)が、このような企業は本質的にはMAHではなく医薬品経営企業でもないため、医薬品オンライン販売の資格を持たない。また上海では、分包装企業も医薬品経営許可証を取得しておかないと分包装後の医薬品を販売できないという政策が打ち出される情報がある。よって、理論上及び政策動向から見ても、分包装企業は薬品経営許可証を取得した後においてのみ医薬品のオンライン販売を行うことができる。

   一方、海外MAHもMAHの一種であり、医薬品オンライン販売の資格要求に合致している。しかし、「弁法」の具体的な規定からすると、海外MAHがいかなる形で医薬品のオンライン販売を行うかは議論があるところである。

   「薬品管理法」第38条、「薬品生産監督管理弁法」など関連規定から、海外MAHはその指定した国内の代理人によって医薬品のオンライン販売を実現できると思われる。しかし、2020年に公布された「国外薬品上市許可保有者国内代理人管理暫定規定(意見募集稿)」によると、国内代理人は医薬品の経営許可やその他特別な資格要件を具備する必要がないため、国内代理人自体が医薬品経営企業でない場合、海外MAHの代わりに医薬品のオンライン販売を行うと、どこの部門に報告するのか、ウェブページにおける開示、医薬品の追跡、クレームや通報対応などの制度は誰の責任かなどの問題にぶつかることになる。オペレーションの観点からすると、少なくとも現在では、非医薬品経営企業の国内代理人は国内代理人の立場で(海外MAHの持つ)医薬品のオンライン販売を行うことは、実行可能性に欠ける。もっとも、もし国内代理人自身が医薬品経営許可証を持っており、国内代理人の立場ではなく、海外MAHの授権委託を受けて医薬品のオンライン販売を行うのであれば、実行可能であると考える。但し、医薬品監督管理部門に認められるかどうかは、今なお政策規範の明確化と実務確認待ちである。
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