企業の刑事事件は不起訴にすることができるか

2021. 11. 22

企業の刑事事件は不起訴にすることができるか

Q:企業の刑事事件は不起訴にすることができるか?

A:できる。2020年3月以来、中国は各地でコンプライアンス不起訴制度の試験導入を行ってきている。具体的には、検察庁が犯罪の疑いがあり、かつ自発的に罪、罰を認める企業に対して、企業が効果的なコンプライアンス管理体制の実施を約束することを前提に、不起訴の決定を行う制度である。最高検察庁における「企業のコンプライアンス改革の試行に関する計画」によると、現在、この制度の試行範囲は北京、遼寧、上海、江蘇、浙江、福建、山東、湖北、湖南、広東などの10省・市に拡大している。

ここで注意しなければいけないことは、企業のコンプライアンス不起訴は、その行為が犯罪の構成要件に該当しないこと、又は犯罪の情状が軽微で刑罰を処する必要がないことを意味するものではなく、企業が刑事責任を問われる罪を犯したにもかかわらず、健全なコンプライアンス管理体制を確立できれば、起訴しないとのことである。

この制度は企業に対する特殊な保護措置であり、企業経営の過程において制度の欠陥による企業犯罪が発生した場合、企業にその管理体制と経営モデルに対してコンプライアンスの徹底を督促することによって、制度の裏に隠れた潜在的リスクと管理の抜け穴を取り除き、違法犯罪行為の再発の可能性を減らすと同時に、企業が長期的に有効なコンプライアンス体制を更に構築することを激励している。これは企業にとって非常に重要な意味を持っている。

しかし、現時点では、最高検察庁はまだコンプライアンス不起訴制度に関する施行細則を公布しておらず、各試験地域の検察庁も内部文書の形で具体的な措置を発表していることが多く、現在、オープンソースからコンプライアンス不起訴制度に適用できる具体的な基準は確認できない。

公開された事例から見ると、検察庁が不起訴の決定を行うには、一般的には、企業の犯罪行為の情状、企業自身の状況、企業の犯罪後の実績、例えば企業の良好な従業記録、コンプライアンス体制の整備、希少な国内事業の展開、地方経済の発展への影響、調査への積極的な協力、損失の速やかな挽回、コンプライアンス体制の是正に強い意欲と行動があるなどの要素を総合的に考慮していると思われる。

要するに、企業の刑事事件においてコンプライアンス不起訴制度を適用できるかどうかは、まだ大きな不確実性を持っており、ケースバイケースで検討する必要がある。

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