約定通り領収書を先行発行しないことに支払い拒否可能?
2021. 8. 6
約定通り領収書を先行発行しないことに支払い拒否可能?

Q: 契約を履行するにあたり、契約相手は約定に従い予め領収書を発行していませんが、企業はそれを理由に支払いを拒否できますか?
A:実務においては、本問題について異論があります。
多くの裁判所の裁判における観点は、領収書を発行していないという理由で契約金の支払いを拒否することは出来ないということです。2021年のある判例において、裁判官は契約相手の主な契約義務は貨物の供給、注文製品の加工、広告サービスの提供、代金またはサービス金の支払いであり、領収書を発行するのは契約の付随義務にすぎず、付随義務は主契約義務と対等の関係ではないため、領収書を発行していないという理由で代金の支払いを拒否することはできないと認めています。また、代金支払側の支払いを拒否する行為は、支払遅延の違約行為を構成しないと裁判所は認めています。
もちろん幾つかの判例には相反する観点を支持しているのもあります。つまり、双方には既に約定があり、当事者の真実の意思表示を尊重するべきであり、契約で領収書を発行することが支払いの前提条件であると約定している場合、裁判所は当事者の合意に違反して裁判すべきではないとしています。
したがって、当所では、支払義務側が後続の財税のリスクを回避するため、予め領収書の受け取りを希望する場合、契約で先に領収書を発行してから支払うことを約定するだけではなく、更に領収書の発行遅延行為に違約責任を設定することをお勧めします。また、代金を受け取る側は支払義務側が領収書を受領する前に代金を支払うことを要求しないことを自発的に認めることを契約に明記します。このような私的自治を更に強調する条項も大きな助けになります。