競業制限契約に補償金条項がない場合、使用者は補償金を支払う必要がある?
2021. 7. 29
競業制限契約に補償金条項がない場合、使用者は補償金を支払う必要がある?

Q: 競業制限契約に補償金条項がない場合、使用者は補償金を支払う必要がある?
A: 原則的には必要があり、また支払いを提案する。
1.競業制限協議に補償金を約定しなければならない?
必要がある。「労働契約法」第23条第2項では、秘密保持義務を負う労働者に対し、使用者は労働契約又は秘密保持協議において、労働者と競業制限条項を約定し、且つ、労働契約を解除又は終了した後、競業制限期間内に月ごとに労働者に経済補償を支払う約定をおこなうことと規定している。本規定によると、労使双方が競業制限義務を約定するとともに、使用者が労働者に経済補償を支払う必要があることを明確しなければならない。
2.競業制限協議において補償金条項が約定されていない場合、労働者はどのような補償金を主張できるか?
「労働紛争事件の審理における法律適用の問題に関する最高人民法院の解釈(一)」(法解釈(2020)26号)第36条規定に基づいて、当事者が労働契約又は秘密保持合意において競争制限を約定しているものの、労働契約の解除又は終了後に労働者へ経済保障を支給する旨が約定されていない場合において、労働者が競業制限義務を履行し、労働者の労働契約の解除又は終了までの12ヶ月の平均賃金の30%の割合に従い月ごとに経済補償を支払うよう雇用単位に要求したときは、人民法院は、これを支持しなければならない。
すなわち、たとえ双方が補償金を約定していなくとも、労働者が競業制限義務を履行した後、上記基準に従って使用者に経済補償を主張できる。
3.使用者は補償金を支払わず、労働者に競業制限義務の履行を要求できる?
実務においては一定の論争がある。使用者が補償金を支払わない限り、労働者に競業制限義務の履行を求める権利がないという見方があるのに対して、使用者が補償金を支払うかどうかに拘わらず、双方が約定した義務に影響せず、労働者は競業制限義務を履行しなければならないという観点もある。実際、競業制限は使用者の商業秘密保護に関連していて、秘密に拘わっている労働者であれば、商業秘密を保護するため、我々は補償金を明確に約定し、かつ時間通りに競業制限補償を支払うことを推奨する。労働者の違反が明確な場合、使用者は契約約定に基づき、相手に違約責任を負うように要求する更なる確かな根拠になる。