無固定期限労働契約の締結状況及び法律責任
2021. 5. 14
無固定期限労働契約の締結状況及び法律責任

Q:どのような状況下において、無固定期限労働契約を締結しなければならないのか?無固定期限労働契約を締結していない場合、どのような法律責任があるのか?
A:
1. 締結状況
「中華人民共和国労働契約法」(以下「労働契約法」という)に基づき、下記の3つの状況が存在する場合、無固定期限労働契約を締結しなければならない。
1) 協議締結
協議締結とは使用者と労働者は平等自主、協議合意の原則に従い、労働契約期間を平等に協議し、双方が無固定期限労働契約を締結することに同意することを指す。
2) 強制締結
強制締結とは法律に規定された状況が発生した場合、無固定期限労働契約を締結しなければならないことを指す。「労働契約法」第14条に基づき、次のような状況が生じた場合、労働者が労働契約の更新、締結を提出又は同意した場合、使用者は無固定期限労働契約を締結しなければならない。
①労働者が当該使用者の下において、勤続年数が満10年以上である場合
②使用者が初めて労働契約制度を実施し、又は国有企業を再編して労働契約を新たに締結する時、労働者は当該使用者の下において、勤続年数が満10年以上であり、かつ法定の定年退職年齢まで10年未満である場合
③連続して固定期間労働契約を2度締結し、かつ労働者に過失性による解除、医療期間満了による解除、業務不適任による解除の状況がなく労働契約を更新する場合
②使用者が初めて労働契約制度を実施し、又は国有企業を再編して労働契約を新たに締結する時、労働者は当該使用者の下において、勤続年数が満10年以上であり、かつ法定の定年退職年齢まで10年未満である場合
③連続して固定期間労働契約を2度締結し、かつ労働者に過失性による解除、医療期間満了による解除、業務不適任による解除の状況がなく労働契約を更新する場合
3) 推定締結
使用者が労働者を雇用した日から起算して(或いは労働契約が満了しても更新されていない)一年以内に労働者と書面にて労働契約を締結していない状況下において、法律では当該実質的な労働関係を無固定期限の労働関係と見なし、無固定期限労働契約の関連規定を適用すると規定していることを指す。
2. 法律責任
1)無固定期限労働契約が強制締結条件に適合していても、締結していない場合は、「労働契約法」第82条に基づき、使用者は無固定期限労働契約を締結すべき日から起算して労働者に対し毎月2倍の賃金を支給しなければならない。
2)無固定期限労働契約が推定締結条件に適合していても、締結していない場合、すなわち労働者の入社日から起算して(または契約が満了しても更新されていない)一年未満で書面にて労働契約を締結していない場合、双方はすでに無固定期限労働契約を締結済みであると見なし、使用者は無固定期限労働契約を追認締結しなければならないが、二倍の賃金を支給する必要はない。
2)無固定期限労働契約が推定締結条件に適合していても、締結していない場合、すなわち労働者の入社日から起算して(または契約が満了しても更新されていない)一年未満で書面にて労働契約を締結していない場合、双方はすでに無固定期限労働契約を締結済みであると見なし、使用者は無固定期限労働契約を追認締結しなければならないが、二倍の賃金を支給する必要はない。
要注意事項として、上記の無固定期限労働契約を締結すべき状況があったとしても、労働者が固定期限労働契約の更新、締結に同意した場合、且つ当該固定期限労働契約を実態として既に締結していれば、当該固定期限労働契約は合法で有効である。労働者は使用者が詐欺、強迫による手段或いは弱みに付け込み、自己の真意に背いた状況で固定期限労働契約を締結させられたことを証明することができない限り、当該固定期限労働契約を取り下げ、辞退してはならない。