最高人民法院 主契約の仲裁条項は従契約に適用されるか

2024. 3. 6

最高人民法院 主契約の仲裁条項は従契約に適用されるか

   最高人民法院はこのほど、仲裁司法審査の典型案例を発表した。
 
   今回公表された案例は仲裁の成立や管轄権等に関する計10例。そのうち案例5は基本契約が従契約にも適用されるかという争議で仲裁条項の効力の拡大に有益なガイドラインを示している。本案例は、財産会社と証券会社の2社と「基本契約」を締結して、仲裁を紛争解決の方式と約定し、430万元を振り込んだ個人が、同財産会社に「承諾状」を発行して担保保証している有名企業を含めた3社を被申立人として基本契約に基づいて仲裁委員会に仲裁を申し立てた例で、当該有名企業はこの仲裁委員会には管轄権がないとし、管轄異議を申し立てたものである。2022年1月に北京金融法院が当該有名企業による仲裁合意の効力確認申請を受理し立件した。

   法院は、当該有名企業と申立人個人とは直接に「基本契約」を締結してなく、「承諾状」は当該有名企業が申立人に発行したものではないと判断した。両者の間には紛争を仲裁して解決するという明確な意思表示は交わされてなく、仲裁合意は存在しないとした。従契約に仲裁条項がない場合には、主契約の仲裁条項は従契約に拘束力を持たないと認定するもので、仲裁条項の効力の拡大を規範化するうえで有益な類案指導を提供している。

   なお、「全国法院渉外商事海事裁判業務座談会の議事録」第97条でも、当事者が主契約において紛争解決方式として仲裁を約定していても従契約で紛争解決方式が約定されていない場合には、主従契約の当事者が同一である場合を除き、主契約における仲裁合意が従契約の当事者を拘束することはできないと規定している。企業は従契約を締結する際(例えば担保等)、自身の状況に応じて、合理的に紛争解決条項を設定し、不必要な紛争を回避すべきである。

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