市場シェアと市場の支配的地位の濫用との関係
2026. 1. 26
市場シェアと市場の支配的地位の濫用との関係

Q:会社が業界で大きな市場シェアを占めている場合、市場の支配的地位の濫用として認定されるリスクはありますか?
A:はい、一定のリスクはあります。但し、事前にコンプライアンス管理をしっかりと行っておけば、大きな市場シェアが必ずしも市場の支配的地位の濫用として認定されるわけではありません。
「反独占法(独占禁止法)」及び「市場の支配的地位の濫用行為の禁止に関する規定 」によれば、市場の支配的地位とは、経営者が関連市場において商品価格、数量又はその他取引条件をコントロールすることができ、又は他の経営者による関連市場への参入を阻害し、若しくは影響を与えることのできる市場における地位を指します。市場の支配的地位を有する経営者は、「独占禁止法」により、保有する市場の支配的地位を用いて市場競争に排除的または制限的な影響を与える行為(即ち、市場の支配的地位の濫用行為)を行うことが明確に禁止されています。具体的には、以下のような行為が含まれます。
- 不公平な高価格で商品を販売し、または不公平な低価格で商品を購入すること。
- 正当な理由なく、原価を下回る価格で商品を販売すること。
- 正当な理由なく、取引相手との取引を拒否すること。
- 正当な理由がなく、取引相手が自身とでなければ取引できないように限定し、又は自身の指定する経営者とでなければ取引を行えないように限定すること。
- 正当な理由なく、商品を抱き合わせ販売し、または取引時にその他の不合理な取引条件を付加すること。
- 正当な理由なく、条件の同じ取引相手に対し、取引価格等の取引条件で差別的待遇を実施すること。
- 国務院の独占禁止法規の執行機関が認定するその他の市場の支配的地位を濫用する行為。
上記のうち、市場の支配的地位を有する経営者がデータやアルゴリズム、技術、プラットフォームの規則等を利用して前項の行為を行う場合も、市場の支配的地位の濫用行為に該当します。
しかし、市場の支配的地位を認定する際には、市場シェアという単一の要素だけでは最終的な認定はできません。以下の要素を総合的に考慮する必要があります。
- 当該経営者の関連市場における市場占有率及び関連市場の競争状況。
- 当該経営者の販売市場または原材料仕入れ市場をコントロールする能力。
- 当該経営者の財力と技術条件。
- 他の経営者の当該経営者に対する取引上の依存度。
- 他の経営者が関連市場に参入する難易度。
- 当該経営者が市場支配的地位にあると認定するその他の関連する要素。
但し、説明しておくべき点は、市場シェアが一定の程度に達しているならば、「独占禁止法」の規定により、当該経営者が市場の支配的地位を有していると推定されることです。
- 経営者1者の関連市場の市場占有率が2分の1に達している場合。
- 経営者2者の関連市場の市場占有率合計が3分の2に達している場合。
- 経営者3者の関連市場の市場占有率合計が4分の3に達している場合。
ただし、前項第2項及び第3項に規定する状況において、そのうちのある経営者の市場占有率が10分の1に達していない場合、当該経営者は市場の支配的地位を有すると推定されるべきではないとされています。また、市場の支配的地位を有すると推定された経営者でも、市場の支配的地位を有しないことを証明する証拠がある場合、市場の支配的地位を有するとは認定されるべきではないとされています。
つまり、経営者が前項の推定基準に達していない場合は、単に市場シェアに一定の優位性を有するだけであり、他の要因が存在しない限り、その経営者は市場の支配的地位を有すると認定されない可能性が高いです。しかし、経営者が前項の推定基準に達した場合、その経営者が市場の支配的地位を有していないことを証明できない限り(実務においてその証明は非常に困難です)、その経営者は市場の支配的地位を有すると認定されることになります。
したがって、経営者が市場の支配的地位を有すると認定された場合、その経営者が市場の支配的地位の濫用行為を行っていると認定されるリスクは急激に高まります。ただし、市場の支配的地位の濫用行為に該当するかどうかは、そのような行為が存在するかどうかにかかっています。このため、「独占禁止法」に違反するリスクを可能な限り回避するには、独占禁止法に関するコンプライアンス管理を強化し、前述のような市場の支配的地位の濫用行為を行わないようにすることです。実務においては、通常、独占禁止法に関連する内部管理体制や制度を整え、市場監督機関による調査や処罰を受ける可能性が生じないように、企業のすべての経営活動を動態的に監視し、レッドラインを越えないようにする必要があります。

