残業をさせないことは、「労働条件を提供していない」に該当するか?
2025. 2. 27
残業をさせないことは、「労働条件を提供していない」に該当するか?

Q:残業を手配しないことで従業員の収入が減少したのは、「労働条件を提供していない」に該当するか?
A:「労働契約法」第38条の規定に基づき、使用者が労働契約の約定に従って労働保護または労働条件を提供していない場合、労働者は労働契約を解除することができ、かつ使用者に経済補償金の支払いを要求することができる。現実においては、確かに多くの労働者の収入のうち残業賃金が相当部分を占めており、職場が残業時間を減らしたり、残業を手配しなかったりすると、労働者は全体の収入が低下して不満の原因となりうる。しかし、「労働条件」とは通常、労働者が仕事を遂行するために必要な作業環境、施設設備、必要な防護などを意味しており、「残業の手配」は含まれないと認識している。
労働法は残業時間の上限を明確に規定しており、同時に残業報酬の基準を上げている。この規定は、使用者が労働者の労働時間を過度に延長することを防止し、労働者の健康と休憩の権利を保障することを目的としている。労働法の全体的な立法精神から見ると、実は残業を奨励していない。そのため、通常、残業を手配するかどうかは使用者の経営自主権に属し、残業を手配しないことによって従業員の全体的な収入が減少し、労働契約法に規定された「労働条件を提供しない」に該当していないと認識している。
しかし、現実においては、ごく少数のケース(例えば(2020)広東19民終8629号)があり、残業を統一的に手配する情況下において、正当な理由なくある従業員の残業を意図的に手配しないような強い目標性を持って残業を手配しない行為は「労働条件を提供していない」可能性があると認識する。このようなケースは多くはないが、その観点も検討する必要がある。会社は従業員の残業を手配する際に合理的で公平な原則に従い、あからさまな差別的待遇はできるだけ避けることを提案する。