吸収合併で特殊税務処理を適用する際の注意点
2022. 12. 23
吸収合併で特殊税務処理を適用する際の注意点

Q: 企業が吸収合併で特殊税務処理を適用する際には何に注意すべきか?
A:特殊税務処理とは企業所得税法上の特殊な概念で、即ち企業が出資持分譲渡、合併または分割の際に、簡易方式で連結財務諸表を用いて帳簿を計上することができることを言う。企業が特殊税務処理を通じて、損失の繰越補償を実現し、同時に資産評価・企業譲渡所得の納税などの関連事項が免除できる。グループ企業が中国で事業計画の変更を行う際に、事業の再編や資産の統合など、吸収合併方式を採用するケースが多く見られる。その過程で、企業は往々にして特殊税務処理の適用を望んでもその条件を満たすことができなかったり、条件を満たしているにもかかわらず特殊税務処理が適用されなかったりして、企業所得税の課税において定額外の損失を招くことになる。
では、企業が特殊税務処理を取り入れて吸収合併を行う場合には、どのような事項に注意する必要があるか。
1. 企業間合併には合理的な商業目的があること
「企業所得税法施行条例」第百二十条の規定において、合理的な商業目的を有しないとは、税金納付の軽減、免除又は猶予を主な目的とすることを指す。特殊税務処理を通して、一定の条件下で吸収合併された企業の課税所得を5年間均等に計上することができるため、合併された企業の課税圧力を実質的に緩和することができる。企業が該当制度の濫用を避けるためには、企業再編に対して企業に(一)企業再編取引の方法;(二)企業再編取引の実質的な結果;(三)再編の各取引側の税務状況の変化;(四)再編の各取引側の財務状況の変化;(五)非居住者企業が企業再編に参与する状況の5つの方面から、逐次に合理的な商業目的の説明を提出しなければならない(国家税務総局公告2015年第48号)。
2. 再編資産の割合が規定に合致すること
財税[2009]59号文書の第六条の規定では、特殊税務処理を適用する企業の合併は下記要件を満たさなければならない。(一)企業の株主は当該企業の合併発生時に、その取得した株式での支払い金額がその取引の支払い総額の85%を下回らないこと、即ち、現金及びその他の権益で支払う割合が取引の支払い総額の15%を上回らないこと。(二)同一支配下で、対価を支払う必要がない企業の合併である。ここでいう同一支配下とは、企業に最終支配権を実行し、親子会社や爺孫会社のほかに、VIEモデルのように、契約や合意によって合併に参加する企業の財務や経営政策の決定支配権を持つ投資家グループのことを指す。
3. 持続的な安定経営の期間規定
財税[2009]59号文書の第6条では、企業再編後の連続12ヶ月以内に再編資産の元の実質的な経営活動内容を変更してはならない。また、「企業再編業務企業所得税管理弁法」にも、企業が合併する前に、合併に参加した各当事者が最終支配者の支配を12ヶ月以上受けなければならないと規定している。上記の2条をまとめて、即ち、同一最終支配者株主に支配する2つの企業は、合併前には同じ企業が12ヶ月間支配し、合併後にも最終支配者による支配が12ヶ月間続かなければならないと規定している。つまり、最終支配者は少なくとも24ヶ月間支配し続けなければならない。
4. 越境投資に関する特殊規定
吸収合併の対象となる親会社や子会社のいずれかが国外の企業である場合は、より厳しい税務規制が課される。多くの場合、特殊税務処理は、国外の企業がその完全子会社の株式をその他の子会社(国内または国外を問わず)に譲渡するか、または国内の子会社が国外の親会社に100%の資産と株式で投資を行う場合にのみ適用される。
特殊税務処理は企業再編の中でも複雑な部分に属し、会計士・弁護士の協力があってからこそ、具体的な案件に対して合理的な適用と解決方法を与えることができる。企業が実務的な考えを持っている場合は、業務計画の段階で弁護士に相談して意見を交換することで、不必要な損失を避けるようお勧めする。