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  • 「独占禁止法」改正の主なポイントを解説

    2022. 7. 18

    「独占禁止法」改正の主なポイントを解説

       2008年に実施された「独占禁止法」は、今年、初めての改正を迎え、6月24日第十三期全国人民常務委員会第三十五回会議において、「『独占禁止法』の改正に関する決定」が可決され、新「独占禁止法」が8月1日から実施される。今回の法律改正において条項が57条から70条まで拡大され、多くの方面から調整及び変更が行われた。例えば、新「独占禁止法」に反映された条項である監督管理を強化する傾向、安全港(セーフハーバー)条項、経営者集中審査期間中断制度等の内容は中国で経営する企業に独占禁止法の執行でもたらす新たな不確定要素を新規に追加、改正された条項において市場競争秩序の維持、経済運行効率の向上、消費者利益保護の価値基準に重点的に反映している。企業にとっては、今回の「独占禁止法」改正は、中国で経営する企業が独占禁止リスクを再度評価し、中国の具体的な政策背景及び監督管理要求を根拠として、適時に新たで公平な競争コンプライアンス計画を制定し、新「独占禁止法」がもたらすコンプライアンスリスクと挑戦に対応することを要求している。

    一、新法は監督管理を強化する立法精神を強調(新「独占禁止法」第五十六条、第六十四条)
       新「独占禁止法」は法律責任を規定する条項に就いて、重大な改正を行い、経営者集中が法律に従い申告していない場合の懲罰を強化し、監督管理を強化する改正精神を示しており、これにより欧米法律の標準と統一することが、今回の最も重要なポイントである。中国は市場経済を持続的に発展させるため、市場経済模式における欠陥及び短所を補充し、さらに公平な競争のビジネス環境を打建て、保護し、独占禁止懲罰の強化により経営者の違法コストを向上させている。監督管理を強化する内容については、新法において下記の幾つかの点を反映している。

    (一)懲罰を大幅に厳格化し、懲罰規則を不断に細分化
       新法は「独占禁止法」に違反した場合の罰金の上限を引き上げた。例えば、経営者集中の関連法律規定に違反した行為については、法律に従い申告していない、あるいは申告したが批准を得ていない等の場合、元の懲罰基準が50万人民元以下であったのに対して、新基準はその基準を500万人民元以下までに調整しており、懲罰を厳格化することを示している。懲罰基準の調整以外に、第五十六条で追加された「前年度に売上高がない場合、500万人民元以下の罰金を処する」という内容は、旧法をさらに改善、詳細化して、新法が懲罰対象の範囲をさらに正確で、全面的な方向へ調整することを示しており、中小規模企業も僥倖に頼ってはおられず、懲罰の対象となる可能性がある。監督管理の強化が企業による「独占禁止法」の違反コストを大幅に引き上げたため、企業は独占禁止コンプライアンス意識を向上させ、経営における独占禁止コンプライアンス事項を重視する必要がある。具体的に言えば、企業は社内で独占禁止コンプライアンス制度を設け、コンプライアンス制度を企業経営の規定・制度の一部として徹底することができる。また、独占禁止コンプライアンス研修を行い、あるいは専門法律サービスを利用し、企業のコンプライアンス構成を強化することもできる。

    (二)ダブル責任制度
       改正後の「独占禁止法」第五十六条は、独占禁止協議において、個人責任のある経営者の法定代表人、主要責任者及び直接責任者に対する懲罰条項を設けており、関係する個人には最高100万人民元の罰金を処することができると規定した。また、第六十七条では、企業及びその高級管理者を含む違法主体に刑事責任を負わせる可能性を明確にしている。しかし、現時点において、中国の「刑法」には相応な罪名がまだ制定されていないが、新法の規定は刑法の今後の関連動向の下地となっている。個人違法責任の導入は、各経営者の法定代表人、主要責任者及び直接責任者に対して注意を喚起し、責任者に自主的なコンプライアンス意識の向上を行うことを要求している。そのほか、第五十六条の内容によると、新「独占禁止法」の個人責任は「独占協議」のみに対する規定であり、「違法経営者集中」及び「市場支配地位濫用」が含まれていない。同時に、企業と上記の関連者が注意する必要があることは、当該規定の核心が、「独占協議の達成に対して個人責任を負う」のをどのように認定するかにある。個人責任の追求は個人責任の認定を前提としているため、企業は法定代表人、主要責任者、直接責任者のコンプライアンス履歴記録制度を作成、完備することに注意する必要がある。例えば、企業は社内で完備なフローチャート記録及び権限審査批准システムを構築し、定期的に証拠を記録することにより、違法責任主体に認定されることを回避しなければならない。

    (三)信用喪失制約メカニズムを増設
       新法は、独占禁止懲罰を使用記録に納められることを明確に規定しており、各級政府監督管理部門は企業の異常あるいは違法情報を共有できる。企業が注意する必要があるのは、当該規定が無形に企業の隠蔽違法コストを増加させており、信用喪失記録が発生した場合、政府調達あるいは他の入札募集活動に参加することに影響を被り、企業の名誉及びイメージを失墜させると同時に、将来的には、さらに多くの潜在的な損失をもたらす可能性がある。

    二、「セーフハーバー・ルール」の導入(新「独占禁止法」第十八条)
       今回の改正は初めて欧州連合競争法における「セーフハーバー・ルール」を導入した。先ず、明確にする必要があることは、欧州連合競争法における「セーフハーバー・ルール」による「主に縦型独占協定に適用され、水平的独占協定においては主に研究開発、専門化生産、技術譲渡等の特定領域に適用される」という適用範囲と異なり、中国の「セーフハーバー・ルール」は縦型独占協定のみに適用され、水平的独占協定には適用されない。改正後の「独占禁止法」第十八条は、「転売に関する価格制限行為について、経営者が競争を排除、制限する効果がないことを証明できる場合、または、経営者が関連市場におけるマーケットシェアが国務院独占禁止法執行機構による基準を下回り、且国務院独占禁止法執行機構による他の条件に適合することを証明できる場合は、禁止されない」と規定している。これに関して、企業が注意する必要があることは、新法第十八条によると、「セーフハーバー・ルール」が免除を提供したため、マーケットシェアが一定の基準を下回った企業間の水平的独占協定あるいは縦型独占協定は明確な独占結果が発生しないが、関連ビジネス行為が本条第三項における「国務院独占法執行(以下は「法執行機構」と略称」)が認定する他の独占協議」に認定されること避ける必要がある。また、「セーフハーバー・ルール」適用の核心は、当該ビジネス行為の本質が「競争を排除、制限する効果がある」に属さないことであるため、形式及び他に数量で判断できる基準(例えば:マーケットシェア)が「セーフハーバー・ルール」の適用条件に適合していても、実質要件において、公平な競争を阻害する状況だと認定される可能性もあるため、ご注意ください。従って、企業は事前に関連市場範囲とマーケットシェアについて、完結した専門的な調査、研究を行うことにより、「セーフハーバー・ルール」の適用基準について客観的に評価する必要がある。

    三、ハブアンドスポーク型協議に関する条項を追加(新「独占禁止法」第十九条)
       新「独占禁止法」第十九条は、経営者が他の経営者による独占協議の締結を手配、あるいは他の経営者による独占協議の締結に実質な協力を提供してはいけないと規定している。改正前の「独占禁止法」においては、中国は独占行為を主に「二分法」の方式で、水平的独占と縦型独占に分けていたが、今回の改正を通じて、水平的独占と縦型独占に両方に属さないハブアンドスポーク型協議に対しても規制している。これに関しては、企業は経営活動で、特に販売者の管理において、販売者との関係の取り扱いを慎重に対応し、販売者との協議がハブアンドスポーク型協議に認定されるリスクに注目する必要がある。また、企業がハブアンドスポーク型協議の当事者ではなく、且直接協議の締結に参加しておらず、仲介者や代理者のみとした場合でも、「水平的独占協議に実質な協力を提供した」と認定される法律リスクがあるため、参加する各類の協議及び取引の構成及び種類を慎重に確認し、形式上の審査だけではなく、独占禁止の実質審査を重視することに注意しなければならない。

    四、経営者集中申告制度の調整(新「独占禁止法」第二十六条)
       新法第二十六条は、元の「独占禁止法」第二十一条の上に、経営者が実際に経営者集中申告条件に適合しているが申告していないことを証明できる証拠がある場合、法執行機構が自主的に当該経営者に対し、経営者申告を要求する状況を補充した。さらに、上記の申告条件に適合しているが申告していない経営者に対し、法執行機構は法律に基づき調査しなければならないと規定した。新「独占禁止法」による経営者集中申告制度の調整につていて、企業の立場から見れば、下記のポイントを注目する必要があると考えられる。
       1. 企業が経営者集中申告を行う必要があるか否かを判断する際に、通常注目する売上高等、「国務院による経営者集中申告基準に関する規定」が定めた基準を除き、実際の性質及び実質効果の評価を重点として注意する必要がある。
       2. 申告する義務がなく、あるいはまだ申告が要求されていない企業は、法執行機構による申告要求への対応を事前に準備し、適時に各協議及び取引における争議のある内容を調整する必要がある。
       3. 本条第三項が定めた法執行機構が「申告する必要があるが申告していない」場合、法律に基づき調査を行わなければならない内容については、「行うことができる」ではなく、「行わなければならない」と規定しているため、その場合、法執行機関は行政機関の強制力で企業に対して審査を行うこととなるので、ご注意ください。
    従って、企業は法執行機構から申告要求を受けた場合、期限切れの申告による損失を避けるために、必ず適時に申告してください。例えば、申告していないため、「競争を排除、制限する効果がある」と認定されれば、新「独占禁止法」第五十八条による相応な違法責任となる。

    五、「審査期間不算入制度」の導入(新「独占禁止法」第三十二条)
       経営者集中の審査プロセスについては、新「独占禁止法」第三十二条には、「審査期間不算入制度を設けており、当該条項が規定した各状況に適合する場合、国務院独占法執行機構が審査期間不算入の期限を決定でき、且当該状況が解除された場合、審査期限が引き続き計算されると規定している。経営者にとって、「審査期間不算入制度」は経営のコストとリスクを引き上げており、特に、新「独占禁止法」には「審査期間不算入制度」の最高期限を規定しておらず、制度執行の主導権がほぼ法執行機構に掌握されている。即ち、新法第三十二条第一、二項には、審査業務の進捗に影響を与える程度を審査期間不算入制度の条件としているが、経営者は、実際に当該程度の問題に達しているかどうかについての発言権がないため、経営者が「審査期間不算入制度」の執行を把握、コントロールできないことを示している。これに関しては、企業は「審査期間不算入制度」による影響が損失をもたらすことを避けるために、取引において、時間に充分な余裕を持つ必要があり、日常的に法執行機構の審査に対して適切な協力を行い、関連書類、資料を事前に用意し、且適時に提出する。また、評価の実施及びそれによる中止審査期限の確率を下げるために、法執行機構と追加の制限条件を交渉、制定する際に、なるべく企業と業界の実際の状況に適合させることを求める必要がある。

       「独占禁止法」の改正は、競争政策の基礎地位を明確にし、中国が良好なビジネス環境を構築することで、公平な競争市場を保護する態度と決意を示しており、企業による日常の取引と経営における独占禁止コンプライアンス及び行政法執行措置の対応能力に対する要求を向上させた。監督管理を強化する制度の背景においては、企業は全体及び実質なコンプライアンスに注目し、前倒しでコンプライアンス審査書類及び対応策を準備することにより、独占禁止のリスクによる影響を避ける必要がある。

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