どのような場合に弁護士費用を裁判の相手方に請求できますか?
2022. 7. 6
どのような場合に弁護士費用を裁判の相手方に請求できますか?

Q: どのような場合に弁護士費用を裁判の相手方に請求できますか?
A:「中華人民共和国民事訴訟法」の関連規定によると、当事者は代理人に訴訟を委任する権利があり、代理人には弁護士が含まれる。但し、当事者は弁護士に訴訟を委任しなければならないわけではない。従い、一般的に、弁護士費用は弁護士に委任した者が自ら負担するが、特殊な状況では敗訴者が負担すると主張することもできる。
(一)契約で違約者が弁護士費用を負担することを約定する場合
契約を締結する際に、契約違反をした側が負う契約違反責任には、契約を守った側が司法手続を通じて権利を救済することによって発生した弁護士費用が含まれることを約定することができる。この契約および違約条項が合法的で有効である場合、契約を守った側は契約違反をした側に契約書に約定された弁護士費用を負担するよう要求する権利があり、裁判所は契約書の約定、関連法律の規定と業界基準に基づいて契約違反をした側が負担する弁護士費用の金額を合理的に決定することができる。但し、注意すべきことは、弁護士費用は合理的かつ発生主義でなければならない。
(二)債権者が取消権を行使する案件と担保権紛争案件
「中華人民共和国民法典」第540条により、取消権の行使範囲は債権者の債権を限度とする。債権者が取消権を行使するために必要な費用は、債務者が負担する。その「必要費用」は、元の「最高人民法院による〈中華人民共和国契約法〉適用における若干問題に関する解釈(一)」(2021年1月1日より廃止)第26条により、「債権者が取消権を行使する際に支払う弁護士代理費、出張費などの必要費用は債務者が責任を負う。第三者に落ち度がある場合は、適切に分担しなければならない」。また、「民法典」第691条により、保証の範囲には主債権とその利息、違約金、損害賠償金と債権実現費用が含まれる。司法実務(例えば、(2021)最高法民終637号)において、弁護士費用は「債権実現費用」である。
(三)人身損害賠償、知的財産権侵害、顔情報侵害、ネットワークにおける侵害、生態環境侵害、不正競争事件
例えば、「最高人民法院による著作権民事紛争事件の審理における法律適用における若干問題に関する解釈」第26条の規定により、「著作権法」の第54条に規定された権利侵害行為の抑止に支払われる合理的な費用には、権利者または代理人に権利侵害行為の調査・立証を依頼する合理的な費用が含まれる。人民法院は、当事者の訴訟請求と具体的な事案の内容に基づいて、関係部門の規定に適合する弁護士費用を賠償範囲内に計算することができる。
(四)知的財産権侵害訴訟における権利の濫用および虚偽訴訟、悪意訴訟などの明らかな不当行為がある案件
例えば、「最高人民法院による複雑・簡易事件の分化を更に推進し、司法資源の配置を最適化することに関する若干意見」第22条の規定により、当事者に訴訟権利の濫用、訴訟義務の遅延などの明らかな不当行為があり、訴訟相手または第三者に直接損失をもたらした場合、人民法院は具体的状況に基づいて過失のない当事者が法に基づいて提出した合理的な弁護士費用の賠償など正当な請求を支持することができる。
(五)経済仲裁案件
大多数の仲裁機関の仲裁規則により、仲裁廷は、当事者の請求に応じて、約定がなくても、当事者の弁護士費用の請求を支持する権利を有する。例えば、北京仲裁委員会仲裁規則第52条第4項には、「仲裁廷は、当事者の請求に基づき、勝訴者が案件の処理のために支出した、弁護士費用、保全費、出張費、公証費などを含むが、この限りではない合理的な費用を仲裁判断書において敗訴者に補償させる権利を有する。仲裁廷は、上記の費用を決定する際に、案件の裁定結果、複雑さ、当事者または代理人の実際の作業量および案件の争議金額などの関係要素を考慮するものとする」。
契約書に弁護士費用の負担について明確な約定がなく、法定状況にも属していない場合、裁判所は一般的に契約書に約定がなく、取引リスクが自己負担であることを理由に、原告の弁護士費用に関する請求を支持しない。実務において、このような場合に、弁護士費用を支持するケースが例外としてあっても、論争を減らすために、取引当事者は契約書に弁護士費用の負担問題を明確に約定することで、取引リスクと訴訟リスクを回避することをお勧めします。