各地の企業給与ガイドラインから上限ラインが消滅

2021. 9. 14

各地の企業給与ガイドラインから上限ラインが消滅

   内陸地域をはじめとする一部地方政府で2021年の企業給与ガイドラインが公表され、上限ライン(警告値)を設定しない地域が広がっています。9月11日「中新経緯」の報道によると、今年に入って山西、山東、江西、陝西、天津、チベット、新疆の7省市自治区の人力資源社会保障部門が「2021年企業給与ガイドライン」を公表し、上昇基準ライン(率)と下限ライン(率)を公表しました(山東は下限非公布)。経営状態が正常で企業利益が増加している企業は基準ラインを参考に給与調整するよう誘導しています。下限ラインは、経営状況が昨年並み又は若干下降した企業への参考値として公表され、各地の最低給与基準額を上回ることを前提としています。国内の専門家は、基準ラインを公表することで「持続的な民生福祉の前進、共同富裕の実現」に向けた収入格差の是正、労働市場の流動性向上に寄与すると期待しています。

   公表された上記7省市自治区のガイドラインでは山西、新疆を除き上昇上限ライン(率)は設定されていません。

   北京市では2021年のガイドラインはまだ公表されていませんが、「国務院による国有企業の給与改革決定メカニズムに関する意見」(国発〔2018〕18号)等による国有企業の従業員給与を企業収益、労働効率に見合った調整、特に高すぎる収入への調整が進められることを背景に、2019年からガイドラインでの上限ライン(警告値)の設定を行っていません。

   ガイドラインは、非国有企業に対しては強制力がある数値ではなく、各地政府が今年のマクロ調整目標を実現するために、企業に求める現金給与改定時の参考値として、以前から一部地域で基準ライン、下限ライン、上限ラインが公表され、給与増長率を抑えるシグナルとしての働きもしていました。

   華南師範大学政治公共管理学院の孫中偉教授は中新経緯ユーザーサイトで「給与ガイドラインは参考値で、企業が採用するか否かは、依然として従来通り企業の経営状況、給与負担能力、業界の平均水準、社内の給与制度などを基に行われるだろう」と指摘しています。

   なお、国家統計局によると、2020年の全国都市非私営単位就業人員年間平均給与は97,379元で、前年比7.6%増、前年の増加率より2.2ポイント下降、価格上昇要因を控除した実際の増加率は5.2%となっています。私営単位の2020年全国都市就業人員年間平均給与は57,727元で前年比7.7%増、前年の増加率より0.4ポイント下落し、価格上昇要因を控除した実際の増加率は5.3%です。
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