「3人っ子政策」は企業の人事労務管理にどんな影響があるか?

2021. 6. 9

「3人っ子政策」は企業の人事労務管理にどんな影響があるか?

   5月31日、中国共産党中央政治局は会議を開催し、人口高齢化に積極的に対応するために、3人目の子供の出産を認める政策(以下は「3人っ子政策」という)及び関連支援措置の実施を決定しました。「3人っ子政策」が実施されると、企業の人事労務管理にどのような影響を与えるのでしょうか?以下、簡単に考察します。

1. 企業のステルスコストが増加する可能性
   3人の子を出産・生育する女性は法律により生育に関連する権益が享受でき、企業は女性従業員の妊娠、出産、授乳を理由として当該従業員の賃金を引下げたり、解雇、又は労働契約を解除することができません。また、妊娠7か月以上の女性従業員に対しては、残業または夜勤を手配してはならず、かつ勤務時間内に休憩を手配する必要があります。さらに、法律に基づいて産休を付与する等の事項が生じます。これにより、企業のステルスコストが増える可能性があると考えられます。

2. 一部の企業で女性従業員の採用を躊躇する可能性
   人件費コストと経営管理リスクを根本から削減するために、一部の極端な企業では「女性従業員を募集しない」という対応措置を直接にとる可能性があります。この行為は、現在の中国の関連政策と就職・性別差別の禁止の方針に違反するものではありますが。

3. 従業員への生育計画制限違反の懲罰条項が適用不可
   一部の企業の内部制度には、いまだに生育計画制限に違反した女性従業員に対しての懲戒条項があり、「3人っ子」政策が実施された後はこのような懲戒規定は無効となる可能性があります。

4. 男性従業員の出産介護休暇も増加
   出産介護休暇も無視できません。上海市の例では、女性の合法出産・生育の際に、男性の配偶者は10日間の出産介護休暇を享受できます。従って、「3人っ子」政策実施後の男性休暇管理制度にも企業は相応の注目をする必要があります。

5. 女性従業員の休暇管理制度にさらなる改善が必要
   休暇申請に必要とする証明書類、休暇申請に関連する手続き等の社内規定について、企業は事前に明確にしておく必要があります。企業は、社内規定に著しく違反した「三期(妊娠、出産、授乳の期間)」の従業員に対して懲戒することができないわけではありません。

6. 生育保険等の関連政策に期待
   「3人っ子」政策により社会で広く注目されている「3人っ子政策」に関連する支援措置に期待ができますので(例えば、企業の雇用コストを調整する可能性があります)、最新の政策動向を注視されるようお勧めします。

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