世界知的所有権の日 | 「南翔」小籠包の商標権侵害紛争

2021. 4. 28

世界知的所有権の日 | 「南翔」小籠包の商標権侵害紛争

   南翔小籠は老舗軽食として上海で広く知れ渡っていますが、商標「南翔」が同時に上海の2社に登録保有されていることは殆ど知られていません。それぞれの違いはいったい何なんでしょうか?両社はなぜ訴訟提起まで行ったのでしょうか?

   先ごろ、上海市浦東新区人民法院は、上海老城隍廟餐飲(集団)有限公司(以下「老城隍廟公司」という)と上海南翔食品股份有限公司(以下「南翔食品公司」という)との商標権侵害紛争の案件について第一審判決を下し、南翔食品公司は老城隍廟公司が保有する商標「南翔」に対して権利侵害に該当すると認定しました。

   「商標法」の規定によりますと、登録商標には商品商標、サービス商標等の異なる分類が含まれており、また登録商標の専用権は認可された商標と認可された商品に限定されることになります。従って、同じ「南翔」商標と言っても、実際には雲泥の差があります。老城隍廟公司は第772405号「南翔」サービス商標の権利者であり、認可された使用は第43類「飲食店」です。しかし南翔食品公司は、第260205号商品商標「南翔」の権利者であり、認可された使用は第30類「小籠包、雲呑」等の商品です。

   当該案件では、南翔食品公司が老城隍廟公司の商標と同一、類似する標識を飲食サービスの店舗の看板、サービスツール等の有形物品及び飲食加盟の募集において際立って使用し、「南翔」の商品商標としての権利境界線を越えており、老城隍廟公司のサービス商標専用権に対しての侵害になると浦東法院は「混同禁止の原則」に基づき判定しました。

   実際には二つの「南翔」はいずれもかって紛れもなく「中華老舗」という栄誉を得たことがあります。今回の訴訟は美味しさの伝承に影響を与えませんが、登録商標の規範的な使用は二つの「南翔」の共同発展をより促進することができると言えるでしょう。

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