労災関連の労働契約解除について

2021. 3. 11

労災関連の労働契約解除について

Q:リストラを行う場合、労災により身体障害を被った従業員について、合意を経て労働契約を解除することはできるのでしょうか?

A:「中華人民共和国労働契約法」の関連規定によれば、労働者が労災により労働能力の全部または一部を喪失したと確認された場合、労働者に過失がない時、又はリストラを理由にして、一方的に労働契約を解除することはできません。ただし、法律は合意による労働契約の解除を禁止しておりません。

Q:合意による契約解除の場合、経済補償金以外に従業員に支給すべき補償金はあるのでしょうか?

A:法律上、合意による契約解除のために追加で支給すべき補償金について、明確な定めはありません。

現行の「労災保険条例」は下記の通り定められております。
労働者の業務による身体障害が1級から4級の障害と認定された場合、労働関係を保留したまま職場を退く場合、以下の給付を受ける。
  • 労災保険基金から障害等級によって障害補助一時金を支給する。
  • 労災保険基金から毎月障害手当を支給する。
  • 被災労働者が退職年齢に達し、かつ退職手続きを行った後は、障害手当の支給を停止した上、国の関連規定に従い基本養老保険の給付を受ける。
労働者の業務による身体障害が5級又は6級の障害と認定された場合、被災労働者本人の申し出により、当該労働者は使用者と労働関係を解除又は終了することができ、労災保険基金より労災医療補助一時金を支給、使用者よりは障害就業補助一時金を支給する。
労働者の業務による身体障害が7級又は10級の障害と認定された場合、労働契約・招聘契約が期間満了により終了し、又は労働者本人が労働契約・招聘契約の解除を申し出た場合、労災保険基金より労災医療補助一時金を支給、使用者よりは障害就業補助一時金を支給する。

従い、弊所の見解としては1級から4級の身体障害を被った従業員に対し、企業は合意によって労働契約を解除することはできますが、合意による契約解除とは言え、従業員が法律に基づき享受できる労災待遇にほぼ相当する補償を支給すべきだと考えられます。例えば、関連規定を参考にして障害補助金や障害手当などの待遇に相当する補償の追加支給が必要となる可能性があります。
5級から10級の身体障害を被った従業員に対し、合意を経て労働契約を解除した場合、支給すべき経済補償金のほか、障害就業補助一時金を別途支給するうえ、従業員による労災医療補助一時金の申請に協力する必要があります。

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