原薬総代理販売契約紛争の二審判決、当局による独占調査があったことが判明

2021. 3. 1

原薬総代理販売契約紛争の二審判決、当局による独占調査があったことが判明

里格医薬健康法チーム

   2020年12月29日、湖北省武漢市中級法院は、A医薬有限公司(以下、「A社」と省略。)とB製薬有限公司(以下、「B社」と省略。)との「総代理販売契約」紛争事件について終審判決を下しました。実務経験に基づき本件を簡単に解説しましたので、少しでもご参考になれば幸いです。

   本件の争点は、総代理販売契約が「独占禁止法」に違反している為に、無効になるか否かという点です。終審裁判所は下記の事実関係を確認しました。双方が「総代理販売契約」が独占行為に当たるかは、裁判による確認を経ておらず、また、B社の経営行為は独占禁止当局によって独占行為として法的処分が下されませんでした。すなわち、当地の市場監督管理局はB社に対し、ジクロフェナクナトリウム原薬に関わる独占の調査に協力するよう求めましたが、B社は市場監督管理局に調査の結果を提供しませんでした。確かに、B社はその市場支配的地位を有するという理由で「総代理販売協議」が「独占禁止法」に違反すると主張しましたが、その支配的地位を濫用する行為を証明できなかったため、その経営行為が独占に該当するとみることはできません。したがって、終審判決は「総代理販売契約」は独占禁止法に違反せず、法的に有効であるため、契約の両当事者は引き続き履行しなければならないとの結論でした。

   販売契約が独占行為とされた場合、当事者が契約の無効を主張して履行を拒否することができると理解しております。しかし、企業は無効な契約によ損失について賠償責任を負わなければなりません。

   原薬は独占禁止事件が多発する分野です。医薬品関連企業としては、その川上企業や川下企業との間で代理販売提携を検討する際に、提携が独占行為に該当し、無効とされることによって、損害ないし行政処分のリスクを避けるよう、コンプライアン上のスリスクについて細心の注意を払い、自社の状況、ビジネススキームや業界の特徴を踏まえて慎重な判断を行うことをお勧めします。

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